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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 177「湘南のスケルトンハウス」

DIYで育てる、ありのままの仕組みを見せた家



 建て主の母が住む家屋の同一敷地内に新築した家です。およそ築45年という平屋建ての立派な家屋を残しつつ、離れがあった場所に2階建ての建物を新築しました。両者の間にはウッドデッキをつくり、一体感を与えています。

 長く住む間には家族構成や住み方が変わっていくので、部屋の仕様を細かく固定せずに広い空間を確保したい。それが、間取りに対する建て主の要望でした。

 実際、設計の過程では、母と同居していた建て主の妹が結婚して家を離れ、建て主一家には赤ちゃんが生まれるなど、家族構成の変化を体験しています。そこで1階と2階はそれぞれ大きな部屋を中心とした空間構成とし、子どもの成長に応じて間仕切り壁をつくるなどして対応するようにしました。

 1階は、ウッドデッキから直接入れるようにした約26畳(約43平方メートル)のリビングダイニング。2階は、階段と一続きになった広い子ども部屋に隣接して、主寝室ともう1つの子ども部屋を並べました。広い方の子ども部屋は、将来2室に区切ることができるように照明やスイッチを2つずつ設置しています。

 今回の家づくりの大きな特徴は、建て主が積極的にDIY(Do It Yourself)に取り組んだことです。1階のキッチンや洗面台、2階の収納棚などは建て主の手作りです。将来の間仕切り工事も、自分で手がけることを想定しています。

 DIYをしやすくするために、ここでは構造材を仕上げ材で隠さず、“家の仕組み”がありのまま見えるようにしました。柱や梁(はり)を露出したうえ、壁の構造用合板をそのまま内装材として見せる。柱に薄いボードを張った内装の場合はクギ1つ打つにも場所を選ぶ必要がありますが、構造用合板ならどこにでもクギを打てます。

 このような仕様は、建て主の意向にも沿ったものでした。

 最近は、見えない仕組みでコントロールされている製品が増えています。家の中も同様で、壁に隠された構造体の仕様や自動操作が進む水回り機器など、目で確認できないものごとが多くなってきました。便利ですが、ちょっと故障すると自分ではなかなか対処できないなど、住み手自身がメンテナンスしにくい状況を生んでいます。

 一方、ここでは柱や梁、構造用合板といった使用素材はもちろん、板を留めているクギまで露出させました。見た目に粗っぽさは残りますが、家を構成する仕組みが見えていることで、建て主は安心できるというのです。

 メンテナンスの参考にするため、建て主は工事中にもよく現場を訪れ、職人たちの様子を見学していました。大工とも親しくなり、いろいろな情報も教えてもらったようです。

 結果的に今回の方法は、材料や構造だけでなく、職人や建物をつくる過程まで可視化したといえるでしょう。
(宇野健一+瓦井隆司/アトリエグローカル)


湘南のスケルトンハウス

建築データ
  所在地: 神奈川県藤沢市
  家族構成: 夫婦+子3人
  竣工: 2009年3月
  敷地面積: 203.66平方メートル
  建築面積: 71.60平方メートル
延べ床面積: 128.34平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: (建築)宇野健一+瓦井隆司/アトリエグローカル
  プロデュー
ス:
ウィークエンドホームズ
  施工: ウィークエンド・エンジニアリング
連絡先  
  アトリエグローカル
  代表: 宇野健一、瓦井隆司
  住所: 〒176-0006
東京都練馬区栄町32-3 森ビル3階
TEL 03-5912-5123
FAX 03-5912-5124
E-MAIL: glocal@sb4.so-net.ne.jp
URL: http://atelier-glocal.com/
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