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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 178「下北沢の家」

コンクリートと木造の混構造、多彩な「仕掛け」で楽しく住む



 若者でにぎわう下北沢の中心部から、少しそれたところにある住宅街の一角。鉄筋コンクリートの半地下に、木造の1階を載せたコンパクトな住宅です。これ以上高くすると斜線制限で屋根が斜めに削られてしまうので、あえて地下に沈めて高さを抑えました。

 建て主には、住まいについて明確なビジョンがありました。法律の制限で形ができたような建物にはしたくない、というのもそのひとつ。ほか、リビングは天井高3メートルを確保し、なるべく広くすること。その代わり、プライベート空間は小さくてもかまわない。何よりも「面白い家をつくりたい」という要望でした。

 道路側の壁には一切窓がなく、屋根はフラット。建物の一部が手前に張り出しているように見えますが、ここは道路面より1.4メートル高いところにある玄関に行くための外階段とアプローチです。手前の壁は塀のようなもので、屋根はかかっていません。

 建物の入り口を開けるとすぐ中庭で、玄関にたどり着くまで、さらに7メートルほどの長いアプローチが続きます。このアプローチが、LDKのバルコニーを兼ねています。

 建て主の要望通り、1階は全部をLDKに充てました。天井高はちょうど3メートル。前述のように道路面には窓がなく、それ以外の部分は隣家が間近に建っているので、窓は南側の中庭に向かって開きます。さらに、部屋の西側に3つのブリーズソレイユ(日射調整装置)を設けました。

 「ブリーズソレイユ」とは、ル・コルビュジエの手法にならったもので、日光を間接光として室内に取り入れる工夫です。この家では、西側の開口部からリビングへ、階段越しに光を入れる筒状の窓をつくりました。筒の内側にはステンレスが張ってあり、光が反射して室内に差し込むので、夕方でもかなり明るく感じられます。

 主寝室と2人の子どもの部屋は地下1階。1台ずつベッドを置くには狭いので、一部屋をまるごとベッドに充てる提案をしました。広さは6畳ほどで、部屋いっぱいに特注のマットレスを敷き詰め、これも特注の巨大なシーツを掛けます。出入り口は3つあり、家族はそれぞれ自分の部屋からこの「ベッド部屋」にもぐりこめるようになっています。

 この家の建て主は、自分の意見ははっきり持ちつつも、実現の方法については私たちに任せてくれました。それだけに、私たちとしても思い切っていろいろな提案ができたと思います。

 いつも、設計前の打ち合わせでは、あまり細かいことは尋ねません。「LDKは○畳で、部屋はいくつで、サービスバルコニーが必要で…」などの具体的な要望を伺ってしまうと、パーツの積み重ねになってしまう。最初のうちは、建て主が本質的に望んでいることがくみ取れれば成功です。お互いに、一度や二度の打ち合わせで全部が伝わると思ってはいないでしょう。

 以前はコンペティション形式で提案を競ったこともありましたが、そういうときも、あえて建て主の希望通りのプランはつくりませんでした。それでも、一度ならず「あなたたちの案は気に入らないけれど、面白いから改めて設計してほしい」と依頼された経験があります。建て主の考えていることをいい意味で裏切った方が、より満足度の高い提案につながっていくのではないでしょうか。
(中村和基+出原賢一/LEVEL Architects)


下北沢の家

建築データ
  所在地: 東京都世田谷区
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2010年1月
  敷地面積: 147.48平方メートル
  建築面積: 72.88平方メートル
延べ床面積: 142.90平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り+木造
  設計: LEVEL Architects
(中村和基+出原賢一)
  施工: ベルクハウス
連絡先  
  LEVEL Architects
  代表: 中村和基+出原賢一
  住所: 大井町オフィス/
 〒140-0014
 東京都品川区大井
 1-49-12-305
 TEL:03-3776-7393
 FAX:03-6412-9321
横浜オフィス/
 〒232-0071
 神奈川県横浜市南区
 永田北1-6-27
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E-MAIL: info@level-architects.com
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