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Housing File 179「佐倉の家」

空間の“ずらし”が生む、家族間の適度な距離感



 小学校低学年の男の子を筆頭に3人の子どもがいる5人家族の家です。奥様の実家の敷地内に新築しました。周囲には畑や田、山が広がり、春になるとうぐいすの鳴く声が聞こえるような環境の良い場所です。

 1階にリビングダイニングと水回り、2階に主寝室と大小2つの子ども室を配した間取りは、オーソドックスな構成といえます。その中で、隣に建っている実家の既存母屋との関係や、新しい家における空間のつながりに適度な距離感をもたらすことに配慮しました。

 母屋との関係では、まず敷地内のどこに新築するかという問題があります。母屋から外を見たとき正面の視線を遮らないようにしたいですし、南側に下がった傾斜地のため、建てられる場所はある程度定まってきます。検討の結果、母屋から少し北東へずらした位置に決めました。

配置図
配置図

 新築建物は母屋とは完全に独立していますが、お互いを意識し合えるような関係を保ちたいと考えました。そこで玄関を母屋に近い一角に配置し、さらに軸を斜めに振って母屋側へ少し顔を向けるようにしました。

 一方、室内はつながった大空間を基本としながらも、空間をずらし、あるいは段差をつけるなどして、変化と動きを感じさせる場所づくりを心がけました。

 ダイニングとリビングはワンルーム状ですが、リビングをややずらして配置しています。玄関とキッチンの中央にあるダイニングは、大きなテーブルで宿題をしたり、本を読んだり、家族が思い思いに過ごす場をイメージしました。一方、リビングは少し奥まらせることで空気感を変え、落ち着ける場となるようにしました。

 ダイニングの一角に設置した鉄骨階段は、背後に大きな窓がある明るいスペースです。階段の下は、子どもたちが入り込める“たまり場”的な場所。壁の棚には本を並べているので、読書スペースにもなります。

 このほかにも、水回りへの入り口部分では床を1段上げて座れるようにし、袖壁(そでかべ)をつくって視線を遮るなど、ちょっとした奥行きを感じさせる仕掛けをあちらこちらに施しました。

 仲の良い家族でも、家の中で適度な距離感は必要です。時には一人で過ごしたい場合もありますし、自分の時間を持ちつつ家族の気配を感じていたいときもあるでしょう。

 そんなとき、程よい距離感を得られる場所が用意されていれば、心地良く過ごしていけます。この家でも、生活のさまざまなシーンの中で、自分の居場所を見つけて楽しんでいただければと思っています。
(小高由紀子/アトリエODK)


佐倉の家

建築データ
  所在地: 千葉県佐倉市
  家族構成: 夫婦+子ども3人
  竣工: 2008年5月
  敷地面積: 1273.52平方メートル
  建築面積: 56.63平方メートル
延べ床面積: 99.59平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: (建築)小高由紀子/アトリエODK
  施工: 金正
  写真: 篠憲子
連絡先  
  アトリエODK
  代表: 小高由紀子
  住所: 〒158-0097
東京都世田谷区用賀4-34-12-433
  TEL: 03-3700-8412
  FAX: 03-3700-8413
  E-MAIL: odk@atelierodk.com
  URL: http://www.atelierodk.com/
平面図
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