TOPLiving Styleこだわりのデザイナーズ住宅

こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 181「八雲の家」

“白い箱”の内部は 空に抜けた広がり空間



 周りを建物に囲まれた都市内の敷地で、外に対してどのように開くかをテーマに設計した住宅です。

 建て主は、オーディオやビデオが好きなご主人、仕事も生活も楽しみたい奥様と幼い男の子の3人家族。設計の打ち合わせ中、子どもをのびのびと育てたいという気持ちが強く伝わってきたのが印象的です。家については、できるだけ大きな開口を確保し、天井の高いリビングが欲しいというのが要望でした。

 道路に面した北側以外の3方向は、すぐ目の前に住宅が迫っています。外周に向かって大きな開口はつくれないので、上空に開いたテラスを内部に設けました。断面方向の凹凸を生かして開口をつくり、坪庭を挿入することなどによって、空に対する抜けを確保し、外界を楽しめるようにしたのです。

 もう少し具体的に説明しましょう。

 最も特徴的なのは、2階の空間構成です。リビングダイニングとキッチンの天井に高低差をつけ、その間に大きなはめ殺し窓を据えました。

 リビングダイニングは、天井高3.7メートルの大空間。一方、天井の低い部分にはキッチンや水回りを配しています。キッチンの上はルーフテラスとし、はめ殺し窓を通してリビングダイニングとルーフテラスが視覚的につながるようにしました。ルーフテラスを囲むように、L字形のロフトも用意しています。

断面図

 リビングからルーフテラスが見えると、子どもが遊んでいる様子も分かりますし、植栽を置けば室内から緑も楽しめます。そこに行きたいという気持ちも引き起こされるでしょう。光を取り入れるだけでなく、こうした視覚上の結びつきによって、日常生活の中で活用されるルーフテラスづくりを目指しました。

 このほかにも、光を取り入れ、内外のつながりを生むための工夫を施しています。

 リビングには、大きさや位置を変えた窓を四周に設けました。南面の低い窓、屋上テラスに面した北側の大きな窓、東側のトップライト、西面の水平に延びたスリット状の高窓です。1日中どこからか光が差し込み、太陽の位置や天候によって白い空間は多様な見え方をします。

 またリビングの一部の床にはガラスをはめ込み、1階にも光を落とすようにしました。このガラス床を通して2階と1階にいる家族の姿が互いに見え、思わぬ出会いが生まれます。いつでも相互の気配を感じながら、暮らしの中で記憶に残るシーンが展開されていくようにと意図しました。

 白い箱形の建物は外に面した窓も少なく、閉じた印象を与えるでしょう。ところが室内に入ると、外観からは想像もつかない明るくて広い空間が広がります。建て主一家にも、その明るさや空間のつながりを楽しんでいただいているようです。
(井東力+市原香代子/アトリエ スピノザ)


八雲の家

建築データ
  所在地: 東京都目黒区
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2009年9月
  敷地面積: 109.16平方メートル
  建築面積: 62.66平方メートル
延べ床面積: 102.21平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: (建築)井東力+市原香代子/アトリエ スピノザ、
(構造)長坂構造設計工舎
  施工: 匠恵塾
連絡先  
  アトリエ スピノザ
  代表: 井東力
  住所: 〒146-0083
東京都大田区千鳥3-16-7-519
  TEL & FAX: 03-3759-3185
  E-MAIL: info@atelier-spinoza.com
  URL: http://atelier-spinoza.com/
平面図
Page Top
おすすめ情報(PR)