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Housing File 185「ひなたの家」

リビングを中心に広がる空間、イラストの夢を膨らませた家



 設計に際してまず渡されたのが、ほのぼのとしたタッチで描かれたイラストによる要望書でした。イラストレーターとして活動している奥様の作です。

 建て主は、40代前半のご主人と30代の奥様、2人の女の子という4人家族です。「デッキに寝転んで酒を飲み、庭を見ながら過ごしたい」というご主人の希望。子どもに優しく、自然や緑を感じられる木の家がほしいという奥様の希望。また、庭にブルーベリーを植えたいという娘さんの願いを描いたイラストもありました。

 内容はきわめてシンプルで、細かな要望が書いてあるわけではありません。ただ、そのイラストからは、建て主夫妻の望む暮らし方がはっきりと伝わってきました。木の素材を生かし、明るい日が差し込む伸びやかな空間をイメージした「ひなたの家」というコンセプトは、このイラストから生まれたものです。

 一方で、建物の面積は延べ床で106平方メートルと、広さは限られています。その中で、コンパクトさを保ちつつどれだけ空間にゆとりを持たせるか。必要なのは、用途を「兼ねる」工夫、空間を「つなげる」工夫です。家を細かい部屋の集合体として考えるのではなく、1つの空間としてとらえることが大切です。

 廊下などの無駄なスペースを省き、内外のつながりを与えることで、実際のボリューム以上の広がりを感じさせる。具体的には、1階の中央にウッドデッキと吹き抜けのリビングを配し、その周囲に必要な機能を並べる間取りとしました。ウッドデッキで水平方向の抜けを、2階につながる吹き抜けで縦方向の抜けを確保したのです。

 2階の個室は最小限の面積に抑え、吹き抜けに面した階段室周りを少し広めのギャラリーにしました。ここは作業ができるカウンターとピアノを置いたサブリビングとして位置付けています。

 この家ならではの部屋としては、キッチンの隣に設けたアトリエがあります。ここは、イラストレーターとして活動している奥様が、創作作業できるようにと用意したスペースです。家事をしながら使えるようキッチンの横に配置し、物干し場にも利用できるようにしました。ウッドデッキを使ったパーティーの際には、アトリエのデスクをサービスカウンターとしても活用できます。

 この家では、特別変わった設計をしているわけではありません。設計者の色を強く出すのではなく、要望書のイメージを膨らませつつ、建て主が希望する生活をいかに実現させるかに心を配りました。そんな設計だからこそもたらされる居心地の良さを提供できたのではないかと思っています。
(坪井当貴+坪井一代/坪井当貴建築設計事務所)


ひなたの家

建築データ
  所在地: 千葉県千葉市
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2010年2月
  敷地面積: 171.76平方メートル
  建築面積: 60.45平方メートル
延べ床面積: 106.10平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  設計: 坪井当貴建築設計事務所
  施工: ハヤシ工務店
  プロデュース: プロトハウス事務局
連絡先  
  坪井当貴建築設計事務所
  代表: 坪井当貴+坪井一代
  住所: 〒154-0017
東京都世田谷区世田谷1-23-9-305 
  TEL: 03-6424-5666
  FAX: 03-6424-5667
  E-MAIL: home@tsuboi-archi.com
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