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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 195「701-house」

手の届きそうな距離感で、人とネコが共存する家



 ネコ好きな夫妻のために、2匹のネコと一緒に生活する家をつくりました。

 夫妻は動物に会うためにアフリカへ旅行するような、ありのままの動物が好きな方です。手間ひまをかけて可愛がるのではなく、それぞれが自由に暮らしながら生活の中で時々触れ合う場面を持ちたいというのが希望でした。

 2匹のネコがストレスを感じずに過ごせるよう、外と内を自由に行き来できるようにする。そこで、ネコがこれまで生活してきた環境を変えずに、外部空間をそのまま囲い取った家を考えました。

 建物は3階建ての中に、少しずつ異なるレベルの空間を差し込んでいます。大きくは1階にベッドルームと水回り、2階にリビングとパティオ(中庭)、3階にダイニングキッチンという構成です。加えて、リビングから80センチ下がったレベルに書斎を、3階から75センチ高いレベルにネコ用の路地「ネコテラス」をそれぞれ用意しました。

 各スペースは高さも用途も明確に分けず、あいまいに連続させました。例えばモルタル仕上げの2階リビングの床は、そのまま書斎のテーブルになります。3階のダイニングテーブルは、窓ガラス越しにネコテラスのレベルにつながります。吹き抜けを介して結ぶリビングとキッチンのレベル差は2メートルに抑え、互いに手の届くような距離感を得られるようにしました。室内と外のパティオも壁で遮らず、ガラスだけで仕切っています。

断面図

 1階から2階へ上がる動線はあえて2カ所つくり、回遊性を与えました。気持ち良さそうな場所がその先に見えれば行きたくなるものです。その時の気分に応じて、すぐ好きな場所へ行けるようにと考えました。

 建物の構造は、型枠コンクリートブロック造りとしました。コンクリート打ち放しのようにクールでハードな仕上げを要望されたからです。

 ただ、中高層の建物に建て替わりつつある地域に立地するため、建物は大きな壁面で外周を覆っています。コンクリート打ち放しでつくると、壁の量感が強調され過ぎると感じました。その点、型枠コンクリートブロックなら、積み上げたブロックの風合いが工芸的な印象をもたらしてくれるし、壁面が小割に分割されるので重い印象も和らぎます。

 一方、室内は、コンクリートブロックの質感を生かして陰影を感じさせる空間にまとめました。これも、「暗くて落ち着いた雰囲気を」というご主人の希望に沿ったものです。実際、以前からそこにあったような趣を感じさせる建物に仕上がったと感じています。

 そもそも建物が出来上がったときの新しさやきれいさは、初めて見た一瞬の印象で終わってしまうものです。もっと深い感覚の部分で満足していただけるように、時間の変化に耐えられる空間を提案していきたいと思います。
(安藤毅/エアスケープ建築設計事務所)

701-house

建築データ
  所在地: 東京都品川区
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2010年7月
  敷地面積: 141.75平方メートル
  建築面積: 59.40平方メートル
延べ床面積: 112.55平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート組積造り、地上3階建て
  設計: (建築)安藤毅/エアスケープ建築設計事務所、(構造)山内哲理/T&A アソシエイツ
  施工: 河津建設
  写真: 中村絵
連絡先  
  エアスケープ建築設計事務所
  代表: 安藤毅
  住所: 〒108-0071
東京都港区白金台
2-23-2
白金台フラッツ B101
  TEL: 03-5422-8946
  FAX: 03-5422-8947
  E-MAIL: info@airscape.cc
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