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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 197「TELEVISION HOUSE」

車好きな建て主のための、工業製品のような免震住宅



 免震構造を採用した住宅です。2010年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

 阪神大震災を経験した建て主から、「地震が来ても安心な家にしたい」と免震構造を希望されたのが設計の出発点でした。息子は既に独立し、娘と2人で暮らしている女性が建て主です。

 敷地は、1970年の大阪万博(日本万国博覧会)当時に開発された吹田市の住宅街にあります。敷地面が道路より1.8メートル高いため、地盤を切り取って中央に駐車スペースを確保し、その上に免震構造の平屋を載せました。

 免震構造は、大地震の揺れを吸収する免震層を基礎と建物の間に設けて、建物部分に揺れを伝えないようにする仕組みです。コンクリートのベタ基礎の上にゴム層などの免震層を設置し、その上に建物を載せます。

 通常、基盤になるコンクリート部分は基礎の役割だけを担いますが、私はコンクリートまわりの空間をもっと多彩に利用できないかと考えました。擁壁と一体化させたコンクリート基礎の一辺を道路側に開き、駐車場として利用したのです。さらに両側のコンクリート基礎の内部は地下室として活用しました。

 アプローチする人はいったん建物をくぐるように駐車場を進み、そこから階段を上がってエントランスのある中庭へたどり着きます。ちょっと面白い空間を用意できたと思います。

断面図

 免震構造ではできるだけ整形の建物にしたほうが有利なため、間取りはシンプルな形状にまとめました。ほぼ正方形の建物の中央に中庭をつくり、室内は基本的にワンルーム状の空間にしています。

 室内は、中庭を挟んで道路側にリビングダイニング、反対側に2人の個室をそれぞれ並べました。各スペースを区切るために、大きな箱を4つ設置しています。2つは各個室に付属するウオークインクローゼットで、もう1つは個室の間に用意した浴室。最後の1つはリビングダイニングの隣に置いて、冷蔵庫置き場や書斎として利用しています。

 建て主は大の車好きで、いすゞ自動車の117クーペに乗っていた学生時代以来、多数の車を乗り継いできたという人。今回の設計に際しても、母娘2台分の駐車場を確保すること、室内から車が見えるようにすること、雨でも車が濡れないようにすることなどが求められました。建物の下に駐車場を用意したのは、これらの要望を実現するためでもあります。

 建物の形は、車やメカニックなものが好きな建て主にふさわしく、機能や構造をそのまま表現しました。

 4カ所の免震装置の上に建てた鉄骨柱で空間全体を支え、その上下から鉄筋コンクリートの表皮をかぶせました。コンクリート面の角をアール(曲線)にするなど、全体に工業化住宅ふうに見せるよう細部を工夫しています。全体を鉄筋コンクリート造りとせず、鉄骨の柱を4本ずつの鋼管で構成する組み柱としたのは、建物を軽量化し、部材を細く納めるためです。
(森村政悦/森村政悦建築設計事務所)

TELEVISION HOUSE

建築データ
  所在地: 大阪府吹田市
  家族構成: 母娘
  竣工: 2008年10月
  敷地面積: 364.36平方メートル
  建築面積: 144.95平方メートル
延べ床面積: 241.29平方メートル
  構造・規模: 鉄骨造り+鉄筋コンクリート造り、地下1階・地上1階建て
  設計: (建築)森村政悦/森村政悦建築設計事務所、(構造)清貞信一/清貞建築構造事務所
  施工: 笹原尚樹/尚建企画
連絡先  
  森村政悦建築設計事務所
  代表: 森村政悦
  住所: 〒610-0332
京都府京田辺市興戸若宮16-1 C-COURT2階
  TEL: 0774-64-7688
  FAX: 0774-64-7687
  E-MAIL: office@morimura.org
  URL: http://www.morimura.org/
平面図
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