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こだわりのデザイナーズ住宅 Back number

Housing File 200「秋山のカフェ/住宅」

十字型の室内空間を彩る 雰囲気の異なる6つの庭



 一帯は住宅地として造成されたばかりで、まだ建物は少なく、ほとんど野原のように見えます。のどかな風景ですが、かといって別荘のように景観を楽しむ環境でもありません。周囲には、いずれ住宅が建ち並ぶでしょう。塀(へい)に囲われた閉鎖的な建物も、無防備に開放的な建物も、どちらもふさわしくありません。

 郊外の住宅地ですから、これから建つ家々も、きっと庭をつくるでしょう。それならば、建物よりも「庭」に重点を置いて設計するのが自然だろうと考えました。家と庭と周囲との関係が見る人に好感を与え、それが新しい街並みの形成につながれば理想的です。

 建て主はもてなし上手で、新居ではリビングの延長の、サロンのようなカフェを営む計画でした。そして、規模の大きさを感じさせない「小屋のような」家を望んでいました。

 敷地はホームベース型。そこに十字型の平屋を配置すると、建物の周りに5つの庭ができます。さらに、十字の中心にも中庭を設けました。合わせて6つの庭に、それぞれ雰囲気の違う植栽を施します。カフェの入り口は自然そのままのような「山野草の庭」、日当たりが少ない中庭は下草を混ぜ植えした「日陰の庭」、キッチンの裏手は食材畑を兼ねた「ハーブの庭」といった具合です。植栽の種類は約200に及びます。

 十字型の建物の部屋は、いずれも庭に挟まれ、その接する庭によって部屋の雰囲気が決まります。室内は庭との一体感を損なわないよう、細心の注意を払ってデザインしました。 主な部屋の壁と天井は柔らかな陰影を生む左官仕上げにし、テラスの壁には自然な味わいのある古材を使って、庭と室内が違和感なくつながるように工夫しています。また、レバーやハンドルといった既製の建築部品はいっさい使っていません。こうした工業製品が目に付くと、それだけで全体の雰囲気が台無しになってしまうからです。

 きっちりとつくり込まれた室内は、どの部屋もニュートラルで、個性を主張することがありません。住まいもカフェも、同じ考え方に則(のっと)ってデザインしています。建物をつくったというより、庭も含めた全体の「環境」をつくったといえるでしょう。“使い道に合わせて場所をつくる”より、“いい場所があるから使う”。そういう自由な“場所”、“風景”をデザインしたいと思っています。
(山口誠/山口誠デザイン)


秋山のカフェ/住宅

建築データ
  所在地: 千葉県松戸市
  竣工: 2010年7月
  敷地面積: 281.89平方メートル
  建築面積: 119.76平方メートル
延べ床面積: 117.64平方メートル
  構造・規模: 木造、平屋建て
  設計: 山口誠/山口誠デザイン
  施工: 杉本興業
  写真: 鳥村鋼一
連絡先  
  山口誠デザイン
  代表: 山口誠
  住所: 〒106-0047
東京都港区南麻布2-8-17 鳥海ビル1F
  TEL: 03-6436-0371
  FAX: 03-6436-0372
  E-MAIL: mail@ymgci.net
  URL: http://www.ymgci.net/
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