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Housing File 45「花見川の家」

3つのテラスを持つ家、光の庭による内と外の融合


大小の箱を重ねたような外観
ガレージの上に載った、白い箱のような2階が主な居住空間。道路側正面と左側面に2つずつある開口部は同じ大きさで、サッシの有無だけが違う。正面はテラス、左側はリビングの窓

LDKとテラスが一体に
リビングから「テラス1」を望む。窓は北東を向いているので、室内に直射日光が差し込むことはなく、ブラインドを下ろす必要がない。大開口による室内とテラスの一体感が保たれる

内と外が交互に連続する
客間から「テラス2」、リビングを見通す。左手奥には「テラス1」も見えている。内と外が互い違いにつながって広がりを生む

照明の光が内外の境界を消す
夜間、テラスの照明をつけると、内と外の光の差がなくなり、全体がつながっているような雰囲気が生まれる。手前がリビング、右手に「テラス1」、左手に「テラス2」、その向こうに客間が見える

南側中央に設けた光庭
日中は光庭となる「テラス2」。外壁を除く3つのガラス面で、リビングと階段室、客間を仕切りつつ、つなぐ

2方向からアプローチできる玄関
1階ホールを、南側の玄関ドアから見る。通り土間の北側にもドアがあり、両側からアプローチできる。吹き抜けとグレーチングの天井を通し、2階「テラス2」からの光が降り注ぐ

 50歳代のご夫婦が、「これからは、生活を楽しみたい」と願って建てた住まいです。2人の子どもはすでに社会人。遠からず巣立っていくことを前提とした設計が求められました。

 敷地は約70坪。ゆとりがあるので、夫婦の生活スペースはすべて2階フロアにまとめました。1階に、水回りを備えたワンルームマンション型の個室を2つ配置。新築当初は子どもたちが使い、独立後は賃貸を想定した設計です。家族と賃借人の動線を分離できるよう、中央の玄関ホールを挟み、南北両側にアプローチを設けました。

 2つのアプローチの上へ張り出すように載せた2階は、建ぺい率いっぱいの135平方メートル。外周をコンクリートの壁で囲い込み、プライバシーを確保します。あとは、その中にいかに豊かな空間をつくり出すか。「食事をしたり、花や緑を楽しめる中庭が欲しい」という要望に応えるために、居室とテラスの配分について検討を重ねました。

 面積は十分ですから、南に大きなテラスをつくり、そこに向かって部屋を並べることは可能です。しかし、それでは内と外が完全に分割されてしまう。しかも、南面の窓は日射量が多いので、せっかく大きな開口を設けても、ブラインドで遮る結果になります。
 
 そこで、長方形の2階全体を15等分。3メートル四方をひとつの単位とし、内と外が混在するように並べました。ひとつの大きな箱の中に、屋根のある部分とない部分があるような構成。3カ所に分散したテラスには、それぞれ異なる性格を持たせています。

 道路に面した北東側の「テラス1」は、3メートル角2つ分。その周りをキッチンとダイニング、リビングが囲みます。床面が連続しているような一体感があり、掃き出し窓で出入り自由。テラスで食事するときのために、キッチン前の窓にはサービス用の棚を用意しました。
 
 日常的に「使う」ことを目的とした「テラス1」に対し、南側中央に設けた正方形の「テラス2」の主な役目は採光です。隣接する階段室を通し、1階のホールまで光を届けます。また、ここに植物を飾れば、家の中のいろいろな場所から緑を楽しむことができます。

 住まいの最も奥まった場所にある「テラス3」は、生活のためのテラス。浴室と寝室から出入りでき、洗濯物を干しても人目に触れない、プライベートな外部空間です。

 晴天の日中は、家の中に、ところどころ光の箱が差し込まれているよう。夜になって照明がともると、テラスと室内に光が満たされ、全体がひとつながりの大きな空間のように感じられます。

 キッチン、ダイニング、客間も3メートル角。リビングと寝室には、それぞれ2つ分をあてています。3メートルという単位は、小さいように思われるかもしれませんが、テラスを挟むことで視覚的な広がりが得られます。ブラインドを下ろすだけで、コンパクトで落ち着いた雰囲気にもなる。空間そのものを調節できるのです。

 外周はコンクリートでしっかり囲まれているので、防音効果も抜群。ご夫婦はホームシアターや音楽を楽しみ、毎週のように来客を集めているらしい。テラスも存分に活用されているそうです。
(田辺芳生)

「花見川の家」

建築データ
  所在地: 千葉県千葉市
  家族構成: 夫婦、子ども2人
  竣工: 2004年3月
  敷地面積: 227.03平方メートル
  建築面積: 135.00平方メートル
延べ床面積: 231.60平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り、地上2階建て
  施工: 東武建設
設計: 田辺芳生
  写真: 中川敦玲
連絡先
PRIME/プライム建築都市研究所
  代表: 田辺芳生
住所: 〒111-0041東京都台東区
元浅草1-5-1本島ビル301
  TEL: 03-5830-0557
FAX: 03-5830-0558
  E-MAIL: prime@blue.ocn.ne.jp
URL: http://prime-lab.com/

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