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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 48「as house」

内と外とが一体化するリビングで、イヌとともに過ごす


斜面に建つ建物の北側外観
北西に視界が開ける斜面に位置する。敷地の2辺に傾斜があるため、建物は平坦な東南寄りいっぱいに建っている。北側の法面(のりめん)は土が露出した状態だったのをそのまま生かして植栽を施した(最下写真を参照)

リビングの外に設けた濡れ縁スペース
1階リビングを囲むように濡れ縁を回して、外部と内部の一体化を図った。庭の片隅に東屋(あずまや)が建っているような空間構成をイメージした。「as house」という名も、「東屋」という言葉と「家のような」を意味する英語を、建て主の姓に引っ掛けたもの

落ち着いた地色に白と黄が鮮やかな1階リビング
パブリックな要素の強い1階リビング。茶色の壁と黒い床で構成し、開放的ながらも落ち着いた空間とした。壁と床のタイルをそのまま外部の濡れ縁にも用いて一体感を生み出した。キッチンまわりの白と階段壁面の黄がアクセントを与えている

窓を開けると外部空間と一体化する1階リビング
天井から床までの大きな窓を開けると、外の濡れ縁と一体化する。イヌを飼うつもりだったので、床には清掃しやすい大判のタイルを用いた

視線を遮りつつ明るさを確保した2階リビング
2階リビングはプライベートな空間として設計した。窓の大きさを抑えて外部からの視線を遮る一方で、明るい色の素材使いによって軽快な雰囲気を生み出している

階段室の黄色が映える地階の玄関
道路と同レベルの地階に、駐車スペースと玄関を設けた。コンクリートの壁に、階段室の黄色い塗装が映える

敷地の法面を活用した植栽
擁壁のなかった敷地の法面部分を生かし、段状に緑を植えた。道路との間の緩衝地帯として開放的な空間を形造っている

 陶磁器の輸入販売会社に勤めるご夫妻の住宅です。土地探しから一緒に始め、横浜・青葉台にあったこの敷地を選びました。

 造成から30年以上経過した斜面地で、北西側の2辺が道路に接しています。2方向に視界が大きく開けている点が魅力でした。視界の良い場所なら、イヌはおとなしく留守番できるそうです。イヌを飼いたいと考えていらしたご夫妻にとって、昼間、2人が仕事で不在のときでも安心して留守番させられる環境は貴重でした。

 ただ、不利な面もありました。斜面地の割合が大きく、建物を建てられる平坦地が狭かったのです。しかも、法面(のりめん=土を盛ったり削ったりしたときできる斜面)の一方には擁壁がなく、土のままでした。

 普通なら、この部分に土を盛って擁壁を作り、平坦地の部分を広げるでしょう。でも、法面をそのまま活用すれば面白くなるのではないかと考え、あえて土を残すことにしました。法面部分を階段状に整え、植栽を施しました。結果、街とのつながりが生まれ、通りを歩いている人になごんでもらえる風景を生み出せたと思います。

 建物のプランは非常にシンプルです。

 道路と同レベルの地階には、駐車スペースと玄関、そして基礎を利用した倉庫を配置しました。1階と2階は大きなリビングです。集合住宅が隣接する東南側に対してはできるだけ閉じて、1階の台所、2階のタタミ室や水回り、収納を東側にまとめて並べました。一方、西側の広いリビングには、視界の開ける2面に開口部を設けています。

 1階と2階のリビングは、対照的な空間として位置付けました。

 パブリックで開放的な場である1階は、外部のような室内空間というイメージです。イヌが走り回れるよう床を清掃しやすいタイル張りとし、外周2辺に広い濡れ縁を回しています。リビング、濡れ縁の壁と床は、どちらも同じタイルを用いて連続性をもたせ、大きな窓を開けると内と外が一体化するようにしました。

 外に対して開放的な空間は、道路側から見られやすいという弱点を持ちます。でも、ここでは濃い茶と黒の落ち着いた配色、明るさを抑えた照明により、外からの視線を気にせずにくつろげる空間を実現しました。竣工後しばらく、カーテンが届かないという事態に見舞われたのですが、ご夫妻は全然気にせず過ごされたのでほっとしました。

 一方、2階のリビングはプライベートな場です。横長の窓を高い位置に設けました。外からの視線を遮り、いすに座ると空だけが見えるようにしました。またフローリングの床と白い壁で明るくまとめ、下階とは全く違う印象の空間としています。東側の壁には階段まわりと同じ黄色の塗装を施し、空間のアクセントとしました。

 玄関まわりに青を使った住宅なども手掛けているため、私は色に対して積極的だと言われることがあります。でも自分では意識していないし、色に特別な意味を与えようとも思っていません。むしろ強く意識しているのは、外と内の融合する空間づくりです。

 外部環境と呼応することで、外から見ても内に住んでいても気持ちよい家を提供していきたい。色についても、風景の中にふさわしい色を置こうという気持ちから、石や草などその場にある物を参考に決めることはあります。

 その風景にふさわしい住まいを目指す――。そんな気持ちが、私の家づくりを支えています。
(横山敦士/ヨコヤマデザイン事務所)

「as house」

建築データ
  所在地: 横浜市青葉区
  家族構成: 夫婦
  竣工: 2004年2月
  敷地面積: 143.86平方メートル
  建築面積: 67.09平方メートル
延べ床面積: 151.62平方メートル
  構造・規模: 鉄筋コンクリート造り+鉄骨造り、地下1階・地上2階建て
  施工: 西武建工
設計: 横山敦士/ヨコヤマデザイン事務所
  写真: 平井広行、横山敦士
連絡先
ヨコヤマデザイン事務所
  代表: 横山敦士
住所: 〒221-0842 横浜市神奈川区泉町15-5 山本ビル203
  TEL: 045-325-6045
FAX: 045-320-5779
  E-MAIL: qyl01630@nifty.com
URL: http://homepage1. nifty.
com/yokoyama-d-s/

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