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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 50「DO-HOUSE 2 悟空」

光と風をL字型に通す、多機能階段を持つ家


南と東に大きな開口を設けた建物の外観
シンプルな箱型建物の南面と東面に大きな開口を設けて、光と風の通り道とした。黒いガルバリウム鋼板で覆った部分の内部には、1階に水回りを、2階には納戸スペースをそれぞれ収めている

簡素なたたずまいの1階リビングとキッチン
障子を開けると、吹き抜けの玄関エントランスにつながる。キッチンセットは建て主自身が建材のアウトレットで購入し、低コスト化を図った。正面カウンターの天板に用いたカツラ材も、建て主が好きな素材を調達してきたもの

いくつもの機能を持つ吹き抜け階段
エントランスに設けた吹き抜け階段は、家の動線の要であると同時に、踊り場部分はご主人の書斎スペースにもなっている。障子を開けると、手前のリビングとも一体化する

家族のくつろぎ空間となる畳の間とリビング
リビングの南端に4枚の畳を敷き、ごろごろできるようにした。2200ミリという天井高はけっして高くないが、障子や窓などの開口部を床面から天井までいっぱいに確保することで、外へ抜ける開放感を確保している

室内をつなぐ吹き抜け階段
建物を上下に結び付ける階段を見下ろす。吹き抜けの右手には、階段室と一体化した子供室が続く

開放的な子供室と主寝室
子供室には、将来建具で仕切れるようにレールを設けている。引き戸を介して主寝室にもつながる開放的なプランとした

思い出の品を埋め込んだ玄関ホール
土間のモルタル部分には、石や貝殻など家族の思い出の品を埋め込んだ

 私が手掛ける住宅に「DO-HOUSE」と名付けたシリーズがあり、その第2弾にあたる家です。

 家づくりで一番大事なのは、その場でしかできない建物を実現し、頑丈な構造体と適度な熱環境を提供することです。これらの基本的な性能を満たしたうえで、いかに低コストの住宅をつくっていくか。それが「DO-HOUSE」シリーズの大きなテーマです。

 そのために、「DO-HOUSE」では建て主にも積極的に住まいづくりへ参加していただくことになります。「DO」という英語には、建て主と設計者、施工者が積極的に家づくりに参加するという意味を込めているのです。

 今回は、設備機器の一部を建て主自身がアウトレットで調達されました。バスタブは7、8万円クラスの製品を2万円弱で購入されたもので、キッチンセットもアウトレット品です。また、建て主が見つけてこられたカツラの板材をカウンターの天板に利用するといった工夫も施しています。

 建て主の家族は、30代のご夫婦と2人の女の子。元は駐車場だった敷地に、長方形の平面を持つコンパクトな総2階の家を建てました。

 道路を隔てた敷地の南隣には大きな駐車場があります。また、建物を西側に寄せて配置することで、敷地の東側に空きが生まれました。そこで、この2つの空きスペースに対して大きな開口部を設ける形で建物の骨格をつくりました。

 箱型建物の北と西の壁を閉じ、東南の角に壁を配しました。残った東面と南面いっぱいに開口部をつくり、建物内をL字型に光と風が抜けるようにしたのです。東のエントランスホールから朝日が差し、やがて昼下がりになると南から光が注ぎ込む。1日の中で時間の移り変わりを感じ取れるようにしました。

 室内は、1階にワンルーム状のダイニングキッチンと畳の間、そして水回り、2階に主寝室と子供室を並べたシンプルなつくりです。けっして広くはない住宅に、いかに奥行きや変化を感じさせるかも、設計のポイントでした。そのための仕掛けの一つが、吹き抜けのエントランスホールです。

 エントランスホールは、吹き抜けの階段と一体化しています。また、この階段の踊り場はご主人の書斎も兼ねています。壁で囲まれ閉塞的になりがちな階段に、玄関ホールと吹き抜け、書斎と本棚の機能を与える。一つの空間に多様な役割を持たせることで、様々な人の動きを誘発する場の面白さを生み出しました。

 住宅は出来上がってから何十年も住むわけですから、住み手にとってもつくり手にとっても良かったなと思える家づくりを常に心掛けています。そのためには、コミュニケーションが何よりも大切です。
 
 そこで設計を始めるときには、それぞれの家族が考えていることをできるだけ包み隠さず話してもらうようにしています。話が矛盾していてもかまいません。それぞれの希望をまず出してもらったうえで、対話しながら優先順位を決め、何をそぎ落としていくかを考えていく。こうした話し合いによって、皆が納得できる住宅が実現できるのです。

 建て主は様々な思いを持っていますが、もちろん上手に伝えられる人ばかりではありません。それをどううまく引き出すかは、設計者にとっても大切な作業。家の設計者とは、生活設計のカウンセラーでもあると感じますね。
(岡村泰之/岡村泰之建築設計事務所)

「DO-HOUSE 2 悟空」

建築データ
  所在地: 東京都町田市
  家族構成: 夫婦+子供2人
  竣工: 2004年3月
  敷地面積: 115.71平方メートル
  建築面積: 36.41平方メートル
延べ床面積: 72.82平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階建て
  施工: 栄港建設
設計: 岡村泰之/岡村泰之建築設計事務所
  写真: michiho
連絡先
岡村泰之建築設計事務所
  代表: 岡村泰之
住所: 〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺1-1-5
  TEL: 03-5450-7613
FAX: 03-5450-7614
  E-MAIL: okmr@amy.hi-ho.ne.jp
URL: http://www.amy.hi-ho.ne.jp/okmr/

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