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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 61「本駒込の家」

家族を「守る」、心を「開く」、住宅の基本テーマを両立する


白い外壁の奥にのぞく大屋根
道路側外観。1階はビルトインガレージ、その上はテラスで、居室と道路の間の緩衝帯になっている。テラスの右端、南にあたる部分を開き、暮らしの気配をうかがわせる

片流れの屋根の下に広がる大空間
2階LDKは8畳ほどのテラスに面し、ほぼ全面が透明ガラスの大開口になっている。急勾配の屋根が、奥行きの深い大空間に縦の広がりを加える

大きな空間を柱と梁が柔らかく区切る
室内に現れた柱と梁が架構の力強さと木の温かみを感じさせ、大きなワンルーム空間にリズムを与える。蔵書の多い家族のために、北西側壁面はほぼ全面を書架とした

居ながらにして戸外の光と風を感じる
一体感のあるリビングとテラス。外壁に囲まれたテラスは屋外でありながら守られた感じで、安心して開け放っておける。南に開かれた部分を通し、敷地の外の風景が遠くに見える

大空間につくられた小さなコーナー
LDKの奥にあるパソコン室。中庭に面して出窓を食い込ませ、そこにデスクを造り付けている。LDKから連続する同じ空間にありながら、一人ほっと落ち着けるコーナーになっている

狭いながらも空へと広がる子供室
2階北東に位置する子供室。写真右手、中庭に向かって開いている。屋根の傾斜をそのまま現した空間で、一番高いところにハイサイドライトを設けている

南の開口部から家の明かりが漏れる
隣地に接する南側はガラスブロックと曇りガラスで構成し、視線を遮りつつ光を取り入れる。テラス面とハイサイドライトだけを透明ガラスにしている

 住宅には、一つひとつの敷地や家族の個性を反映させなくてはなりませんが、同時に、あらゆる住宅に共通するテーマがあると思います。

 一つは、安全やプライバシーが「守られる」こと。もう一つは、敷地の外から光や風を呼び込み、家族の心が「開かれる」空間づくり。「守る」と「開く」、相反する2つのテーマをいかにして両立させるか、いつも心を砕いています。

 この住宅は比較的静かな住宅街にありますが、敷地は、間口6.8メートル、奥行き20メートルと細長く、建物の高さや面積に厳しい法規制が課せられています。前面道路は南西側で、残る3方は隣地に囲まれています。

 そこで、道路面の駐車場の上を大きなテラスとし、その奥にリビングを連続させて南の光を取り入れることにしました。テラスは南側の一部を除いて外壁で囲み、道路からの視線を遮ります。一方、奥まったリビングからは外壁の途切れた部分を通して、外の景色を垣間見ることができます。

 リビングは大屋根の形そのままの大空間。高低差2.2メートルの傾斜天井が東南に向かって延び上がり、ハイサイドライトの向こうに空が開けます。守られた住宅であっても、外の世界とつながりを保ち、遠くに思いをはせられるようにしておきたい。それが、住まいにおける「心の自由」ではないかと思うのです。

 室内には柱と梁を現しました。柱と梁のつくるフレームがワンルームの大空間に「区切り」を生みます。それが一定の間隔で連続することで、さらにその向こうの部屋へのつながりが感じられ、建物全体の深い奥行きが意識されます。

 リビング北西の閉じた壁に沿って柱が並び、ソファコーナー、階段、ピアノ置き場、パソコン室が連続。そのすべてが、同じ一つの大空間の中にありながら、それぞれ独立した小空間でもあります。中庭に面したパソコン室で机に向かえば、自分一人の世界に浸ることができるでしょう。

 「守られる」という命題には、プライバシーや防犯といった物理的な側面もありますが、それ以上に、「ここは自分の場所だ」と感じられる安心感が重要です。それが欠けていては、落ち着いて過ごすことができません。

 外壁によって「守られた」テラスに向けて大空間を「開き」、その大空間の中に「守られた」身近な小空間をつくる。「守る」と「開く」を多重に構成することで、安らぎと開放感を兼ね備えた、豊かな住空間をつくろうと試みました。

 私は住宅以外に公共建築も数多く手掛けていますが、設計の方法に違いはありません。公共建築も、住宅をつくるのと同じようにつくっているからです。

 住む人、使う人と話し合いながら、心の奥底にある、言葉にならない要望を探り出して形にしていく。どんな建築物にも共通する作業と考えています。
(西島正樹/プライム一級建築士事務所)

「本駒込の家」

建築データ
  所在地: 東京都文京区
  家族構成: 夫婦+子ども2人
  竣工: 2004年12月
  敷地面積: 138.64平方メートル
  建築面積: 82.04平方メートル
延べ床面積: 156.86平方メートル
  構造・規模: 木造・地上2階
  施工: アズマ工務店
設計: 西島正樹
  写真: 加藤嘉六
連絡先
プライム一級建築士事務所
  代表: 西島正樹
住所: 〒160-0022 東京都新宿区新宿5-15-1-2F
  TEL: 03-3354-8204
FAX: 03-3354-3745
  E-MAIL: PRIME@a.email.ne.jp
URL: http://www.ne.jp/
asahi/prime/nishijima/
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