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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 62「FLYING HOUSE」

高台のデッキや浴室から、阪神間の眺望を楽しむ


傾斜地を生かし、大開口を設けた建物外観
高台部分に鉄筋コンクリート基礎を立ち上げ、木造の建物を配置。南に大開口を設けて眺望を確保した。翼を広げて飛び立つイメージを外観に託している

半屋外デッキを取り入れた南面
眺望の良い南側に屋外デッキやガラス張りの階段室、浴室を設け、常に自然を感じられるようにした。外壁は黒いガルバリウム鋼板張り。鉄筋コンクリート造りの基礎のまわりは、暖炉用の薪(まき)を置く場所として利用している

階段から続く玄関アプローチ
まず階段を上がって、そこからこのアプローチを通って玄関に。陶芸をする奥さまのギャラリーとして使うことを考えている

暖炉のある2階ダイニングキッチン
手前のリビングから、ダイニングキッチンを見る。床のフローリングと、照明を組み入れた天井のはさみ梁の木が、空間に温かみを与えている。ダイニングキッチンの左手に、半屋外のダイニングデッキが続く

ダイニングデッキの夕景
屋根のかかる半屋外のダイニングデッキ。木製建具を引き込むと、ダイニングキッチンと一体化する。デッキにかかる屋根の室内側の一部をガラス屋根にすることで、一体となる空間にめりはりがつくようにした

階段室を通して外の風景を見られる1階個室
1階中央の個室は子供部屋として想定している。写真奥に続く広縁のような階段室は、眺望を楽しむ場であると同時に子供の遊び場にもなる

眺望を楽しめる浴室
屋外デッキと隣り合わせの浴室は、セカンドリビングとして位置付けている。浴槽を床レベルにまで沈め、自然の眺めを満喫できるような造りに

 兵庫県西宮市の六甲山麓には、眺望の良い住宅地が広がっています。この家からも、近くの海と山を、そして遠く大阪や神戸の街並みまでを一望できます。恵まれたロケーションに立地している家です。

 建設コストを抑えるため、南側に傾斜した地形をできるだけそのまま残し、南東側の道路寄りに3台分の駐車場を確保しました。高台の部分には鉄筋コンクリートの基礎を立ち上げ、2階建ての木造住宅を載せています。外観は、翼を広げ、傾斜地から海に向かって飛び立とうとする姿をイメージしました。

 建て主の家族は、30代の夫婦と小学生の男の子。ご夫妻とも広告代理店に勤める多忙な身でありながらアウトドア派で、奥さまは陶芸や音楽も楽しんでいます。そして、自分たちの求める住まいの姿をかなりはっきりと描いていました。

 「家族で一緒に過ごす時間が限られているので、家にいる時間を十分楽しめるようにしたい」「周辺の緑や海、空や夜景など、多彩な表情を楽しめる開放感のある住まいとし、木や石、コンクリートのような由来の分かる素材を生かしてほしい」……。そんな要望を受け、視界の開ける南側に向けて空間を最大限開き、温かみのある木のフローリングを用いました。

 2階のダイニングキッチンは家族が過ごす中核の場です。オープン式のキッチンにして、皆が一緒に食の時間を楽しめるようにしました。また、ガラス戸を引き込むと半屋外のダイニングデッキと一体化するなど、南の眺望を最大限楽しめるようにもしています。

 プラン上の特徴は、ダイニングキッチンや2つの個室を北側に寄せ、南側に半屋外デッキや全面ガラス張りの階段室、浴室を配置した点にあります。

 階段室まわりは主動線が通るほか、日差しを浴びながら寝転んだり遊んだりすることもできる広縁のような空間です。浴室は、床面から立ち上がりなしに浴槽に続きます。全面の開口を通して隣接する住宅の桜も見え、とてもぜいたくな眺望を楽しめます。

 家全体を通して、座ったり立ったりという場の変化によって、目の高さが変わるのに合わせていろいろなレベルで景色を楽しめるように配慮しました。ダイニングキッチンとリビングの床面に段差を与えたのにも、そうした狙いがあります。さらに、開放的で内外の境界をあいまいにした半屋外空間を随所に配置することで、36坪という実際の面積以上の広がりを生み出しました。

 この家では、内外の空間のつながりを重視したほか、機能面では多様な使い方を意識しました。何の部屋がいくつほしいという考え方をする人ではなく、「子供が学習する場所」「畳のように座れる場所」……そんな風に、欲しい機能を取り出して私にぶつけてきたのです。

 限られた面積内にこれらの機能をすべて盛り込むには、1つの部屋が多様な役割を果たしていく必要があります。そこで、「食べる」「くつろぐ」「遊ぶ」「休む」「寝る」「食事をする」「眺望を楽しむ」……など、盛り込みたい機能を整理して各スペースに散りばめていきました。

 たとえば、ダイニングデッキの機能は「食べる」「集う」「眺める」。1階の2つの個室には「休む」や「寝る」、1階の階段室には、通路としての役割に加え、「くつろぐ」「眺める」「遊ぶ」という機能をそれぞれ与えています。

 また、2つの個室の間にあるクローゼットは、どちらの部屋からも使えるようにしました。現在は寝室や子供室として考えている個室に互換性をもたせ、将来のいろいろな使い方に対応できるようにするためです。

 自然を感じつつ、自由に場所を使っていける家。ここでは、そんな空間を提供できたのではないかと思っています。
(大江一夫/マニエラ建築設計事務所)

「FLYING HOUSE」

建築データ
  所在地: 兵庫県西宮市
  家族構成: 夫婦
+子供1人
+ネコ
  竣工: 2005年3月
  敷地面積: 282.80平方
メートル
  建築面積: 74.52平方
メートル
延べ床面積: 120.21平方
メートル
  構造・規模: 木造一部鉄筋コンクリート造り、地上2階建て
  施工: 英田建築
  設計: 大江一夫/
平面図
    マニエラ建築設計事務所
  写真: 喜多章
連絡先
マニエラ建築設計事務所
  代表: 大江一夫
住所: 〒662-0067 兵庫県西宮市深谷町11-14
  TEL: 0798-71-2802
FAX: 0798-71-2670
  E-MAIL: maniera@hcc1.bai.ne.jp
URL: http://hccweb1.bai.ne.jp/maniera/
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