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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 78「ちくちく邸」

空と竹の風景を楽しむ、田園の中の“火の見やぐら


米スギを張った火の見やぐら風外観
3層部分の奥に1階部分が延びていく変形プラン。北側(画面左)に建つ実家への日照を確保するため3層部分をできるだけ道路側に寄せ、軒高も6メートル50センチに抑えた。外壁は防火処理した無塗装の米スギを利用。時間とともに銀ねず色に変化していくことを想定している

リビングダイニングの外に広がる屋上デッキ
東西に延びる1階部分の屋上を大きなデッキとして活用した。テーブルは竣工後に建て主が作ったもので、デッキの端材を用いている

2階のLDKと屋外デッキ
床座スタイルを導入したリビングダイニングからそのまま続くように屋外デッキを設けた。キッチンの手前にはパソコンや針仕事のできる家事コーナーを用意している

子供室と一体化するLDK吹き抜け
“やぐら”部分の東側半分を吹き抜けとし、LDKと3階子供室が直接結び付くようにした。梁にロープをかけ、ブランコに使っている

木を豊富に使ったリビングダイニング
3階子供室からリビングダイニングを見下ろす。リビングダイニングには床暖房を設置

畑や雑木林の残る環境に建つ住居外観
実家の敷地の一角に建設した。周囲に建つ民家のほとんどは平屋。子供を育てるのに良い、のどかな環境だ

 「火の見やぐら」のような家だねと言われたことがあります。

 米スギを張った3階建て部分を道路側に建て、その先に平屋建て部分を続けています。道路から見ると、斜めにそそり建つ3層部分が目立つため、そう言われるのでしょう。ただ、これはいくつかの条件から自然に導かれた構成なのです。

 この家は、横浜市内に広がるニュータウンのはずれに位置しています。周囲は畑や雑木林で、ポツポツと古い平屋建ての民家が建っています。裏には里山が広がり、遊び場もあちこちにある。子供を育てるにはとても良い、ゆったりした環境です。

 こうした中、ご主人の実家の敷地内に、夫婦と小学校低学年の娘さんという3人家族のための家を新築しました。

 まず考えたのは、北側に建つ実家への快適なアプローチを確保することです。敷地面積にそれほど余裕はありません。例えば総2階にしてしまうと、北側の実家への日照が妨げられ、アプローチにも圧迫感を与えてしまいます。

 そこで、影響の最も少ない西の道路側に新居を寄せ、3層部分を配置しました。寝室や水回りの入る平屋部分は東側に設けています。

 3層部分の壁面を斜めにしたのも、上へ行くほど空が広がるようにしてアプローチに対する圧迫感を抑えるためでした。また、ご実家でお茶を教えているため、家族以外の来客もよく通ります。そこで、家にいても来客と目が合わないよう、アプローチに対しては閉じた造りにしました。それらが火の見やぐらのような形に結び付いたわけです。

 リビングダイニングを2階に配し、1階の屋上に設けた屋外デッキに向かって開放的な空間としました。2階に主室となるリビングダイニングを持ってきたのは、日照を確保するため。南に隣接する住戸は平屋ですが、1.5層分くらいの高さがあるのです。

 具体的な設計作業の段階で建て主から出たのは、個室は最小限でいいが、皆で集まる場所を充実させたいという要望でした。ですから、1階の寝室や3階の子供室は6畳弱と小さめにする一方で、リビングダイニングまわりの広がりを重視しています。

 料理好きな奥様は針仕事もよく手がける方です。キッチンの横にパソコンと針仕事のできるデスクを設け、家事コーナーとしています。キッチンの棚をオープンなタイプにしたのも、お気に入りの食器などをそのまま見せたいという希望を反映させたものでした。

 周囲の家はほとんど平屋建てで、高い建物はありません。デッキに出ると周囲に点在する竹と空だけが目に入り、とても爽快(そうかい)です。もちろん、設計時にも予想はしていましたが、工事が進むにつれ現場で実体験でき、その気持ち良さを改めて感じました。

 実際、出来上がってからも家族でよく利用しているようです。秋には近所の方を招いて、デッキで月見の会も開いたとか。このように使いこなしていただくと、設計した私としてもうれしいですね。

 もともと私自身、外へ拡張できる家を意識して設計することが多いんです。内に閉じた住宅ではなく、外にすぐ出られる部分を生み出したい。今回、大きな屋外デッキを設けたのは敷地などの条件によるものですが、結果的に周辺環境の良さを引き出せたと思います。
(山下達朗/プランプラン)


ちくちく邸

建築データ
  所在地:

横浜市

  家族構成:

夫婦+子供1人

  竣工:

2005年3月

  敷地面積:

187.30平方メートル

  建築面積:

61.94平方メートル

延べ床面積:

107.64平方メートル

  構造・規模: 木造、地上3階
施工:

幹建設

設計: 山下達朗/プランプラン
  写真:

山下達朗

連絡先

プランプラン

  代表:

山下達朗

住所: 〒186-0002 東京都国立市東1-16-13 諸橋ビル3F
  TEL: 042-574-2166
   FAX: 020-4669-5671
  E-MAIL: info@planplan.jp
URL: http://www.planplan.jp/
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