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Housing File 81「福島の家」

屋内でキャッチボール!、長くて高い吹き抜けの家


水田の緑に映える黒い外観
隣地に水田が広がる条件を生かし、東向きの細長い建物とした。開口部にかぶさるように並んだ斜めの列柱は、南からの直射日光を調節するルーバーのような役目も果たす

南北17メートルの細長い空間
2階南端からの見通し。建物の東側半分が吹き抜けのパブリックスペース、西半分が個室や水回りが並ぶプライベートスペースになっている。2階南北両端に「ギャラリー」と呼ぶ踊り場のようなゆとり空間も設けた

玄関も廊下も一体の空間
1階北側からの見通し。右手前のタイル張りの部分が玄関で、ダイニングに直結している。半透明の天井がかかった廊下の突き当たりが同居するご主人のお母さまのスペース。廊下の右手に収納、浴室、トイレが並ぶ

吹き抜けに面した子供部屋
写真右手が子供部屋。「兄弟、姉妹、一緒に一つの部屋で育つのがいい」という建て主夫妻の考えで、机とベッドが3人分は置ける大きな部屋に。天井近くにガラス窓を設け、トップライトの光を取り入れる

上下階で声を掛け合える吹き抜け
ご主人の希望の一つは「愛車を眺めながら食事すること」。ダイニングやキッチンは掃き出し窓でガレージに面している。コストダウンのため、ダイニングの収納家具は既製品を使い、その寸法に合わせてカウンターを造り付けた

親戚が行き来するにぎやかな暮らし
敷地はもともと奥さまの実家があった場所。古い建物の一部を残して改修した離れに、奥さまのお母さまが暮らしている。新居が完成してご主人のお母さまも同居し、双子の赤ちゃんも生まれて、一挙に大家族に

 福島市郊外は、住宅街といっても、まだ所々に田畑が残っています。敷地は袋小路にあるのですが、東側にぽっかりと水田が広がっているのが特徴です。

 設計当初、建て主は夫婦2人暮らし。ご主人のお母さまとの同居を予定し、「将来は3人ぐらい子供が欲しい」と話していました。「屋内でキャッチボールができるような家にしたい」という言葉が印象に残っています。

 敷地は約140坪とゆとりがあるので、建物の配置も形状も、割合自由に考えられます。そこで、オーソドックスな南向きのプラン、正方形のプランなど、3~4案つくって建て主に提示しました。そのうち、一目で気に入られたのが、この細長いプランです。

 建物を南北に引き延ばし、水田に向かって目いっぱい開きます。その長さ約17メートル。内部は縦に2分割し、東は吹き抜けのLDKに。西に個室や収納、水回りを並べました。

 東側には外壁を兼ねた急勾配の屋根をかけ、10本の列柱で支えています。斜めの構造は揺れに強く、積雪対策としても有効です。黒いガルバリウム鋼板に包まれた外観は、田んぼの緑によく映えます。

 この外側の黒さに対し、内部はできるだけ白っぽく、明るい素材を使ってコントラストを際立たせました。

 屋根の傾斜はそのまま吹き抜けの天井に現れ、白く広い面を見せます。東西を分ける家の中心ラインには6つのトップライトを並べて、光の骨格をつくりました。トップライトの光は半透明の廊下を透かして1階まで落ちていきます。

 このトップライトは一つおきに開閉できるようになっており、吹き抜けにたまった空気を抜いて、新しい空気を呼び込む役目も持っています。細長い建物なので、突き当たりには必ず窓をつくるなど、風通しには十分配慮しました。

 リビングは天井高7メートル、奥行き11メートル。まさに「キャッチボールができる」大空間です。リズミカルに並ぶ梁やトップライトが、その長さを実感させます。階段も同じ長手方向に掛けて、奥行きを強調しました。

 1階北端にある対面キッチンに立てば、リビング・ダイニングはもとより、吹き抜けを介して2階の子供部屋まで一望に見渡せます。

 1階南端は、ご主人のお母さまのスペース。リビングに続く和室と奥まった寝室で構成しました。リビングと和室の間は折れ戸で、家族だけのときは開け放ち、来客時には閉め切るなど、自在に使い分けられます。

 完成後、建て主夫妻に双子のお嬢さんが誕生しました。共働きの2人を助け、同居のお母さま、離れに住む奥さまのお母さまも子育てに加わっているようです。風通しのいい大らかな空間が、大家族の暮らしを温かく包んでくれるよう願っています。
(東信洋+東美紀)


福島の家

建築データ
  所在地: 福島県福島市
  家族構成: 夫婦+子供2人+母
  竣工: 2005年1月
  敷地面積: 476.05平方メートル
  建築面積: 130.66平方メートル
延べ床面積: 224.58平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階
施工: 会津建設
設計: 東 信洋+東 美紀/space fabric
  写真: 村角創一(協力:扶桑社「新しい住まいの設計」)
連絡先  
 

space fabric

  代表: 東 信洋
  住所: 〒103-0007東京都中央区日本橋浜町3-26-12-409
TEL・FAX: 03-3661-8034
E-MAIL: azuma@space-fabric.net
URL: http://www.space-fabric.net/
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