TOPLiving Styleこだわりのデザイナーズ住宅

こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 97「宇都宮の家」

造成前に交渉して斜面を残し、雑木林風の景観をつくる


緑の斜面に建つ銀色の家

東側外観。当初の予定では、道路から地面が見えないほどの高いコンクリート擁壁が計画されていた。分譲業者との交渉の結果、擁壁を下げ、斜面を残して、雑木林をイメージした植栽を施すことが可能になった


半戸外的な雰囲気のLDK空間

LDKは2方向に大きな開口部を持ち、2層分吹き抜けた開放的な大空間。吹き抜けの上に張り出した箱状の2階部分の外側には外壁材を張り、内と外が交錯するイメージを強調している


吹き抜けに面した個室

リビングから玄関方面を見る。壁が白くくり抜かれたように見える所が玄関ホール。その上に張り出した部分が子ども室。はめ殺し窓で吹き抜けに面し、LDKからも子どもの様子がうかがえる


シンプルで使い勝手のいいオープンキッチン

キッチンは、基礎から立ち上げたコンクリートの台にステンレスの作業台を乗せたシンプルなつくり。中庭のコンクリート壁の裏手には、物干しやゴミの仮置き場に使うサービスヤードが設けられている


高台の眺めを楽しむダイニング
ダイニングテーブルの脚部も基礎のコンクリートから立ち上げている。天板を乗せるだけでできる、ローコストの造り付けテーブルだ。豆型の変形天板は座る位置や人数を選ばないので、用途が広く建て主に好評

ダイナミックな吹き抜け空間

ブリッジのような2階通路から吹き抜けを見下ろす。高さ5メートルを超える空間の向こうが全面開口になっており、開放的で迫力のある眺めが広がる


 起伏のある土地に建つ、眺めの良い住まいです。通りにも緑を見せ、雑木林の中に家が建っているような景観づくりを目指しました。

 このコンセプトが成り立ったのは、土地が造成されるより前に、建て主から相談を受けたおかげです。そのとき、あたりはまだ斜面のまま。上ってみると見通しが開け、気持ちのいい場所でした。しかし分譲業者は、敷地の奥を3メートルも削り、手前に高さ3.5メートルもある擁壁をつくって、斜面を平らにならす造成計画を立てていたのです。

 それでは土地が低くなり、せっかくの眺望が損なわれてしまいます。道路面にはコンクリートの壁が立ちはだかるばかりで、住宅街の景色としても望ましいとは思えません。

 そこで私たちは、新たな造成案を含めた建築計画を立て、模型をつくってデベロッパーのところへ乗り込んでいったのです。幸いにも理解が得られ、造成計画を変更してもらうことができました。

 宅地を予定より1メートル高くし、擁壁は1メートル低く抑えて、斜面を少し残しています。その上に四角い建物を乗せ、東南の角を削り取るようにして2層分の大きな窓を開きました。南の隣家をかわしつつ、眺望が開け、日差しがたっぷりと入る向きです。さらに、建物の西側をくぼませて中庭を設け、こちらも床から天井までのガラス壁としました。

 東南と西の2方向に大きく開いたLDKは、天井高5メートルを超える吹き抜け。鉄の柱が2本立っているほかは、壁も梁(はり)もない大空間です。その上部に浮かぶように張り出した南北2つの2階の箱は、主寝室と子ども室。それぞれ、吹き抜けに面して窓を開いています。

 開放的なLDKは、屋内でありつつも戸外のような開放感のある空間。その内側に、やや閉じた、プライバシー度の高い個室がある、という構成になっているわけです。

 造成後に地盤調査し、盛土部分の地盤改良を行いますが、造成地の地盤は不均質なので、建物を軽くするためにも、構造は木造を選択しました。しかし、木造でこれだけオープンな空間をつくるには、綿密な構造計算が必要です。東南の窓の両端に大きな柱を隠し、吹き抜けの中央にある階段も、建物を支える構造体としての役目を担わせました。

 このことによって、中庭まで含めたLDK全体を、視覚的につながった空間にすることができ、面積以上の広がりが得られたと思います。

 斜面を残した庭には、土の流出を防ぐために芝を張り、間にシラカシやコナラ、シャラなど多種多様な植物を植え込んであります。予算の問題もあって、どれも今はまだひょろひょろとした若木ですが、これから根を張り、枝を広げていくことでしょう。

 地面の芝も、おいおい小さな葉を茂らせるダイカンデラに生え替わるようにしてあります。あと5年もたつころには、建て主と私たちが思い描く「雑木林の中の家」ができあがっているはずです。
(高木恒英/インターセクション)

宇都宮の家

建築データ
  所在地: 栃木県宇都宮市
  家族構成: 夫婦+子ども1人
  竣工: 2005年3月
  敷地面積: 240.90平方メートル
  建築面積: 72.32平方メートル
延べ床面積: 116.48平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階
  施工: 増渕組
  設計: 高木恒英/インターセクション
  写真: 齋藤貞幸
連絡先  
  インターセクション
  代表: 高木恒英
  住所: 〒112-0002東京都文京区小石川1-6-1-803
TEL: 03-3815-6510
FAX: 03-3815-0135
平面図
E-MAIL: takagi@inter-arch.jp
URL: http://www.inter-arch.jp/
おすすめ情報(PR)