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こだわりのデザイナーズ住宅

Housing File 99「中目黒の家」

大空間の中に箱状の小空間、入れ子の構成で多様な場をつくる


閉じた外観の一部に明るい庭が垣間見える

北東、道路側の外観。外壁にはほとんど窓がない代わり、駐車スペースは南の庭まで抜けて、通りに中の気配を伝える。木ゴテの跡を残した白い左官壁を背景に、樹木の細い幹がくっきりと際立つ


建物の南の角を日差しに向かって開く

ロフト上のテラスから見た外観。建物は北から南に向かって高くなっており、最高高さは9.95メートル。上下2層分のサッシは2階部分に当たる。少し張り出した木の箱の内部は2階寝室


明るく開放感のある2階空間

2階子世帯のLDK。約6メートル四方、最高天井高5メートルにわたって梁(はり)も柱もない大空間。正面のコーナーの窓はほぼ真南を向いている。左右に配した箱状の空間は、右が寝室、左が書斎。階段を上がると、それぞれ子ども室と和室になっている


素材の色を生かした変化のある空間

2階リビングからキッチン方向を見る。白い壁・天井、ウリン材の床、カラマツの壁、黒さび色の鉄階段など、それぞれ素材を生かした配色。そこに、収納の扉に張ったスーツ生地の質感あるダークグレー、暖炉のえんじがかった赤がアクセントを加える


庭に面した1階親世帯

1階親世帯の居間は、月見台のようなテラスを介して庭を望む。2階同様、カラマツの壁の向こう側に個室がある。箱状の個室は、居間の窓の外まで張り出している。庭の赤松は、味のある色合いの樹皮を鑑賞するために植えた


トップライトの光で明るい浴室

2階子世帯の水回り。浴室にトップライトを設け、トイレ・洗面との間はガラスの壁で仕切った。2階にはほかにもう一つ、来客も使えるトイレを設けている


 都心ながら、大通りからやや離れた、静かな住宅地に建つ2世帯住宅です。

 前面道路は北東で、周囲は隣家に囲まれており、南の角方向だけ、わずかに建物のすき間が空いています。そこで、南に向かってL字型に開く形に建物を配置しました。

 道路側は閉じていますが、駐車場の部分は、通りから南の庭まで抜けています。白い外壁をくり抜くようにして、内側にカラマツの板を張りました。

 2世帯の独立性を保つため、それぞれの玄関を建物の両端に設け、1階に親世帯、2階に子世帯と、上下に住み分けます。玄関同士は一枚の引き戸で隔てられているだけなので、中では行き来が可能です。

 一般的に言って、2世帯住宅は規模が大きく部屋数も多く、世代ごとに異なるさまざまな生活の要求があります。それを余裕を持って受け止められるような、骨格のしっかりとした、シンプルな空間を提供したいと思いました。

 1階・2階とも建物の南の角を開き、その角に向かって両側に、木の壁に包まれた箱状の個室を設けました。残る部分が、それぞれ居間や和室、LDKなど家族の共有空間になります。

 特に2階は、南に向かって延び上がる、最高天井高5メートルの大空間。2つの個室の箱の上にも空間ができ、それぞれ子ども室と和室に充てられます。コーナー部は2層分の開口になり、十分な採光と開放感が得られます。

 大きな空間に小さな箱状の空間を入れるこの構成では、家全体の一体感を保ちながら、箱の回りや上、下に、さまざまな場をつくることができます。移動して、視線の高さや角度が変わるたび、目に映る景色も変化します。

 一つの空間に多様な要素が混在することになるので、その材質や色には気を配りました。前提は、素材そのままの色を生かすこと。箱の側面はカラマツ、床はウリン材。階段や手すりは、鉄の黒さびの色です。収納家具の扉にはダークグレーのスーツ生地を張りました。

 空間のアクセントは、オリジナルの暖炉。建て主の希望を受けてデザインしたものです。既製品の暖炉を、鉄板でつくった赤い箱にはめ込み、黒い土台に載せました。煙突の付いた赤いキューブが宙に浮いていて、その影が床に映っているようなイメージです。

 建て主の推薦で、植栽は関西の造園家に依頼しました。道路面には5種類の幹の細い樹木、南の庭は2本のアカマツとモミジを主役に、さまざまな草木を植え込んでいます。建て主の話によると、それが順繰りに花を咲かせ紅葉して、絶え間なく景色を変えてくれるそうです。

 家族というのは本当にそれぞれ違いますから、その個性と敷地の個性にぴったりとはまる形を見つけられたら、それだけでオリジナリティーのある住宅になるはずです。でも、そうやってできあがったものに、ほかの家族にも通用する、ある普遍性が見いだせたりする。そこが、住宅の設計の面白いところだと思っています。
(渡辺康/渡辺康建築研究所)

中目黒の家

建築データ
  所在地: 東京都目黒区
  家族構成: 夫婦+子ども1人+両親
  竣工: 2005年7月
  敷地面積: 199.16平方メートル
  建築面積: 116.22平方メートル
延べ床面積: 199.67平方メートル
  構造・規模: 木造、地上2階
施工: 井端建築
設計: 渡辺康/渡辺康建築研究所
  写真: 新良太
連絡先  
  渡辺康建築研究所
  代表: 渡辺康
  住所: 〒151-0062東京都渋谷区元代々木町21-9-202
TEL: 03-5465-5407
FAX: 03-5465-5408
E-MAIL: wy-aa@aqu.bekkoame.ne.jp
URL: http://www.
bekkoame.ne.jp/~wy-aa/
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