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イングリッシュ・ガーデニング back number
第16回 アーチィストの庭・ワーズーワスとモリス
あなたの庭づくりヒント
文・写真:鈴木せつ子(写真家)
 
 

 イギリスのロマン派詩人、ワーズワース。民芸運動の旗手として知られるインテリアデザイナー、モリスはともにウィリアムという名前でした。二人のウィリアムは、母国の自然をこよなく愛した男たちです。


 
  写真1 写真2

 

  ロマン派を代表する詩人ウィリアム・ワーズワースは1770年、イギリス北部、湖水地方に生まれました。政治経済の激動期を生きたワ−ズワース。「イングランドで最も美しい」といわれるこの地を愛し、日毎に増す自然破壊を憂い、棹さす詩人でもありました。
 写真1は、ワーズワースの終の住処となった家です。ライダル・マウントという小高い丘の上に建つこの館は、そのぐるりを木立に囲まれています。木々の間からは、ライダル・ウォーターという小さな湖と対岸の風景を一望することができます(写真2)。ワーズワースは、庭園デザインも施したこの家で、人生の半分を過ごし、代表作を生み出しています。
 わたしがここを訪れたのは、5月上旬でした。とはいえ、小雨の降りしきるそれは寒い日でしたので、ベストコンディションの写真をここにお見せ出来ないのが誠に残念です。しかしながら、霧のたちこめる春というのも、湖水地方ならではの雰囲気なのです。
 ワ−ズワースの有名な詩に「水仙」がありますね。水仙はさすがに花の時期を終え、ただ長細い葉っぱがブルーベルの花たちといっしょに雨にぬれて光っていました。林の小径を散策して、ワーズワースも座った庭はずれの休み屋で傘をたたみました。
 ここから、崖下にひろがるライダル・ウォーターの荘厳な景色を眺めていると、先人が自然保護に努力した形跡など、少しも感じることができません。そのくらい、何もかもが文字どうり自然なのでした。
 ワーズワースの庭は、18世紀に流行した風景式庭園です。邸宅の前庭なども森に木々が植生しているようにデザインされています(写真1)。そして何よりも大切にされているコンセプトは「その庭が周囲の美しい自然風景と一体になっている」というところです。
こうした庭に対するイギリス人の美意識と自然観が、自然保護の活動をより活発にしたとも言えましょう。この「風景式庭園」はイギリス独自の庭「イングリッシュ・ガーデン」として、広くヨーロッパにも渡り、一世を風靡したのです。
 そして、こうした考えは、今日のイギリス人にも脈々と息付いていて、みなさん、リタイアをしたら、田舎に住んでガーデニングをしたいと思っているのでしょうね。


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