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第71回 庭に子孫へのプレゼントを
あなたの庭づくりヒント
文・写真:鈴木せつ子(写真家)
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1848年、天才造園家パクストン作の温室。当時はイチジク、ナシ、アンズなどのフルーツに加え、ツバキが栽培されていた

 写真は、イギリス中部ダービー州にあるチャッツワース庭園の壁面型の温室です。白いフレームが美しい延長100メートルの温室は、6代当主ディヴォンシャー公爵に見込まれた天才造園家ジョーゼフ・パクストンによって、1848年に完成しました。木材とガラスでつくられたこの温室の中には、熱湯の通るパイプを設置し、イチジク、ナシ、アンズなどのフルーツとツバキを栽培していたそうです。

 今日でも、ツバキの木々は残っていて、3月の訪問客を楽しませています。通常、イギリスのツバキは5月が開花期ですが…。

 温室のことをオランジェリーとも呼びますが、それは文字通りオレンジなどのフルーツを栽培していたからです。19世紀、それを許された一握りの上流階級の人々にとっても、温室を持つことは、大層ぜいたくなことだったのです。

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11代当主がパクストンのロックガーデンを再現。新たな創作を加え、頂上に見晴らし台をつくった。2003年完成
 パクストンは、この温室を手掛ける前に、やはり木材とガラスで、長さ84メートル、幅37.5メートル、中心部の高さ20.4メートルの円天井をもつ曲線型の大温室を4年がかりでつくりあげています。そして、プラントハンターがアマゾンから持ち帰った、葉っぱに人が乗れるほどの大睡蓮(すいれん)を栽培し、キューガーデンズに先駆けてその花を咲かせています。ちなみに、1757年創立の王立植物園キューガーデンズに、パームハウスという同型の温室が登場したのは1840年でした。
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