TOPLiving Styleイングリッシュ・ガーデニング

第75回(最終回) 世界に広がる英国式庭園 back number
文・写真:鈴木せつ子(写真家)
 
Photo
ヴィルヘルムスへーエ公園の丘の頂上からは、カッセル市街が一望できる
 豊かに木々の繁る森は、この水の芸術が催されるほんの1時間ばかり、いつもとは違うにぎやかさに包まれます。それが終わると、森は再び静けさを取り戻し、小川を流れる水のせせらぎや小鳥たちの歌声が聞こえてくるようになります。

 そんなヴィルヘルムスへーエ公園は、イングリッシュ・ガーデンの手法を取り入れてデザインされたそうです。ところが、私がこの森にいて感じ続けたのは、森の民ドイツ人の感性でした。樹木に対するセンスや、ワイドなスケール感をもつこの公園は、イングリッシュ・ガーデンよりもはるかに野性的で自然の厳しさを感じます。

Photo
240ヘクタールの公園は、深い森のような安らぎに包まれている
 それでも、前述した公園を取り囲むように森が続いているという景観づくりは、まさにイングリッシュ・ガーデンのスピリッツ。私がドイツを感じたということは、この公園がイングリッシュ・ガーデンのコンセプトを昇華し、自分たちの公園にしている証しだと思うのです。

 この場合のイングリッシュ・ガーデンとは、立地条件や周囲の風景を取り入れてつくる自然愛に満ちたランドスケープ・ガーデンのことです。(詳しくは、第37回 自然愛の庭・風景式庭園を参照)

 ところで、この水の庭の構想やデザインは、第71回でご紹介したチャッツワース庭園のカスケードに似ているとは思いませんか。制作も同時期ですし、どんな交流があったのか、何か面白い逸話が残っているような気もします。
back next
おすすめ情報(PR)