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第75回(最終回) 世界に広がる英国式庭園 back number
文・写真:鈴木せつ子(写真家)
 
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モネの庭、光り輝く夏のミックス・ボーダー・ガーデン
 上の写真は、印象派の画家クロード・モネの庭です。モネが庭づくりを始めたのは1883年。パリから電車に乗って1時間ほどのところにある田園地帯、ジヴェルニーに引っ越して来てからです。モネの友人であったフランス元首相ジョルジュ・クレマンソーは、「庭はモネの作品の一つだ」と書き残しましたし、「庭師になった画家」と聞けば、多くの庭好きの人はモネを思い浮かべることでしょう。

 モネのガーデニングは、幾何学的に区切られたフランス式庭園にイングリッシュ・ガーデンの自然美を融合させたものと言われています。現在の庭は、厳密にはモネがつくった庭ではありません。モネの息子の死後、庭と家はしばらく放置されていました。それが1970年代に入って、アメリカなどから多くの寄付が集められ復元されることになったからです。

 フランス人は、現在のモネの庭に批判的です。「モネがこんな庭をつくるはずがない、花が多すぎる」というのが大方の意見です。確かに、モネがイギリスのボーダー・ガーデンにみるような花のありかたを求めていたのであれば、現在の花の多さにはうんざりするものがあります。

 しかしながら、えてしてフランス人やアメリカ人のつくるイングリッシュ・ガーデンには花が多く、それも大輪の花々が咲き誇ります。さらに、庭にある色数も、イギリスのそれに比べたらはるかに多いのです。そんな傾向は、国民性が素直に表れているとも言え、こうした文化の変容が、新たなシーンを生み出していくのでしょう。

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あまりにも有名な睡蓮の池。柳など周囲の木々が美しい
 モネは庭をつくるにあたって、花の色彩計画を練り上げたそうですが、緑のことに関してはあの有名な睡蓮の池に集中していたのでしょうか。イギリス人は、ボーダー・ガーデンに何を植えようかと思うとき、葉のことにも同時に気を配ります。イングリッシュ・ガーデンの特長の一つは、緑のアレンジを最も大切にすることなのですから。
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