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執筆 殿木真美子/フリーライター 監修 細野 透/住宅ジャーナリスト
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第21回 大手デベロッパーが取り組むエコ
家庭部門のCO2削減が叫ばれる中、特に一戸建てに比べて集合住宅のエコ化は進んでいるとはいえない。そんな中、大手デベロッパー2社が、エコへの取り組みを相次いで発表した。三菱地所の「吉祥寺エコマンション(仮称)」と、野村不動産が策定した「プラウドエコビジョン」についてレポートする。
先進技術とデザイン性の融合

 2008年12月、三菱地所は子会社「メックecoライフ」を設立した。三菱地所グループが開発する集合住宅を対象に、環境に配慮した取り組みの推進を目的として、環境やデザインに関する研究などを行う会社である。

 今回紹介する物件は、このメックecoライフと三菱地所が共同開発した「吉祥寺エコマンション(仮称)」。今日、集合住宅にあって考えうる限りの先進的な環境対応技術を詰め込み、かつデザイン性の高さを実現した、全9戸の分譲マンションだ。

 集合住宅では初の試みである、戸別給湯による太陽熱利用給湯システムをはじめ、三菱地所のマンションで初めての外断熱工法、床下空間に冷気と暖気を吹き込む床チャンバー型空調システム、太陽光発電システム、LED照明などが採用されている。

「吉祥寺エコマンション(仮称)」の外観模型と採用された設備など

 面白いのは、バルコニーのデザインだ。通常のマンションは、南側の大開口に面してバルコニーをつくるが、本物件ではリビングには窓しかなく、数個所に集約されたバルコニーは、物干しと機器置場だけに機能を特化。これは設計を担当した建築家飯田善彦さんの、「居間はくつろぐための場所なのに、外に目をやったときいつも洗濯物が視界に入ってくるのはおかしい」という提案によるもので、言われてみれば確かにその通りである。ちなみに各部屋の窓はすべてセルフクリーニング機能のついた木製の断熱サッシを使用したポツ窓(壁の量に対して小さめの窓)とした。切妻風の傾斜屋根と合わせて、外からはまるで1つの大きな家のように見える。

 また、駐車場を設置せず、武蔵野市が運営するコミュニティーバス「ムーバス」の利用を促進。そのため、接道部を舗装する必要がなくなり、敷地の外周には天然木のウッドデッキを巡らせ、街路樹を植える計画だ。内装のデザインも凝っている。外断熱のメリットを生かし、壁は打ち放しコンクリート仕上げ、床はカバザクラの無垢材フローリング。反対に共用部の床はカーペット敷きとし、エントランスを抜けたとき、我が家に帰った安堵(あんど)感が得られるようなデザインとする予定だ。

 さらに、棟外モデルルームやパンフレットをつくらず、ウェブと「理由(わけ)ブック」という説明ツールのみで広告を打つ竣工販売方式をとっている。価格は周辺物件に比べてやや割高となる予定だが、国土交通省「住宅、建築物 省CO2推進モデル事業」に認定されていて補助金が受られるため、その分が価格に反映されるという(価格は未定)。

 今、マンション業界が持てる技術をすべて盛り込み、かつデザイン性も追求した「吉祥寺エコマンション」は、年間13.3トンのCO2削減を見込んでいる。

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