TOPLiving Styleマンション百景

マンション百景
BackNumber
執筆 殿木真美子/フリーライター 監修 細野 透/住宅ジャーナリスト
  1 2 3
第21回 大手デベロッパーが取り組むエコ

エコマンション黎明期

 昨年、鳩山首相が国連気候変動サミットで掲げた、温室効果ガス排出量を90年比25パーセント削減するという大目標。中でも特に排出量が多いのは家庭部門で、政府も太陽光発電や一部の給湯器などの環境製品への補助金交付など、対策をとり始めた。そのかいあって、戸建て住宅部門の環境対策は着実に進んでいるが、集合住宅部門の対策はほとんど手がつけられていないというのが現状だ。

「吉祥寺エコマンション(仮称)」の外観模型

 以前紹介したリブラン(「マンション百景」第3回)など中小規模のデベロッパーによる取り組みもあるが、まだその数は少ない。また、特にスケールメリットが期待される大手デベロッパーは、不況の真っただ中で確実に売り上げが見込める富裕層向けの都心物件に供給を絞っており、その超豪華な装備は、エコとは真逆の発想であるといっていい。

「プラウドシティ池袋本町」のエントランスゲート

 しかし、世界的に環境問題が緊急課題となる中で、集合住宅でも避けて通ることのできない命題となっている。まして、大企業が環境問題に目をそむけることは、CSR(企業の社会的責任)の観点からも深刻なダメージを会社に与えかねない状況が生まれつつある。

水盤と木々が美しい中庭内のアクアテラス(プラウドシティ池袋本町)

 そんな社会的要請を受けて、最近になって重い腰を上げた大手デベロッパーの取り組みは、まだ始まったばかりである。一例を挙げると、今回紹介した「吉祥寺エコマンション」で採用された外断熱(第13回2ページ目参照)は、「究極のパッシブ建築」ともいわれ、欧米の集合住宅はもちろん、わが国でも戸建て住宅では一般的に採り入れられるようになってきた。にもかかわらず、マンションにこの工法を採用するデベロッパーはほんのわずかだ。

 三菱地所商品企画部副長兼メックecoライフ常務取締役の唐澤眞二さんは言う。「今回の吉祥寺の物件は、非常に実験的なものです。お客様に受け入れられるのか、本当にこの設備でいいのか、すべて手探りの状態。9戸という戸数だからこそ可能となった物件なんです」。つまり、まだ大中規模物件に採用できる段階ではないということ。野村不動産の「プラウドシティ池袋本町」でエコ仕様が可能だったのがほんの一部だったこととも符合する。

 しかし、危機感はある。「私たちのような大きなデベロッパーが、いわゆる百貨店化しているのではないか、という危惧があります。このままではこれから主流となる若い顧客層に受け入れられないのではないか。コンセプトから販売手法に至るまで、これまでの常識を見直していく必要があると考えています」と唐澤さんは語っている。

 誰もが満足する最大公約数的なマンションづくりの発想では、おそらく真のエコマンションはつくれない。規模の大きな集合住宅だからこそ、大きな省エネ効果が期待できる。現実にはデベロッパーの努力と政府の支援策が必要不可欠である。買い手である我々も、これからは自分たちの快適さばかりを追うのではなく、周囲の人々との調和から将来の環境までを視野に入れて、マンションを選ぶ必要があるだろう。


【物件概要】
「吉祥寺エコマンション(仮称)」
●所在地/東京都武蔵野市中町2-2931-16他(地番) ●最寄り駅/JR中央線「三鷹」駅徒歩11分ほか ●構造規模/鉄筋コンクリート造地上4階建 ●総戸数/9戸 ●敷地面積/361.29平方メートル ●専有面積/56.69~72.82平方メートル ●販売価格/未定 ●完成予定/平成22年10月下旬 ●売主/三菱地所 ●設計/飯田善彦建築工房、三菱地所ホーム ●施工/前田建設工業

「プラウドシティ池袋本町」
●所在地/東京都豊島区池袋本町4-2016-9他(地番) ●最寄り駅/JR埼京線「板橋」駅徒歩2分ほか ●構造規模/鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上15階地下1階建 ●総戸数/785戸 ●敷地面積/20,652.34平方メートル ●専有面積/58.07~87.45平方メートル ●販売価格/5,000万円台(最多価格帯) ●完成予定/平成23年3月下旬 ●売主/野村不動産 ●設計・施工/長谷工コーポレーション

back
おすすめ情報(PR)