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古民家再生物語
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古民家再生物語
第6回後編 藍染めの作業納屋を事務所に「魅力」を軸に時間をつなぐ
古民家再生工房 いかしの舎 写真 いかしの舎 図面
美観地区内での再生に課題
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倉敷の美観地区。見せ物と化して生活感のない街並み
 重要伝統的建造物群保存地区にあるがゆえ、建物を再生するときには補助金の助成を受けられるが、外観の造りには制約を受ける。我々の再生方法の特色でもある外郭を残して内部に対比をつくるという手法で対処することになったが、用途の変更に伴う外観の変更はやむを得ない。

 美観地区内で建築行為をするときは、手続き上、審議会(民間人で構成する機関で、市が審査を委託している)の承認を経なければならない。現在これが大きな問題を抱えている。保存を考える場合に常について回る今日的な課題と、役所のシステムの硬直化から生じる問題である。「凍結保存」か「動態保存」かという問題と、マンネリ化による役所のワンパターンな対応の問題ともいえる。

 美観地区とは本来、保存を旨とするものであり、地区内の建物の形態変更は最小限に留めるのが理想である。しかし、それは一方で、生活を犠牲にし、活用を制限することにもなる。時代の流れの中で形骸化していく保存のあり方に、限界が見えてきていることは言うまでもない。

 それをどうしていくかを再考しなければならない時に来ているにもかかわらず、役所の相変わらずのシステムが作動し、保存のあり方の陳腐化を余儀なくされている。時代をつなぐように活用・再生していかなくては、これからの保存はあり得ない、と思うのだが……。

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