TOPLiving Style古民家再生物語

古民家再生物語
古民家再生物語
古民家再生工房 いかしの舎 写真 いかしの舎 図面
1 3
第6回後編 藍染めの作業納屋を事務所に「魅力」を軸に時間をつなぐ
Back Number
魅力を見いだし、持続させる
 再生した建築のコンセプトは、「バナキュラー(地域性・土着性)における対比と融合」である。モロッコのカスバにある土の塔と、ベニスで見かけるような壁を、ジャイアントファーニチャー(巨大な家具)として吹き抜け空間に配し、それを日本の民家が(一神教のイスラム教とキリスト教を多神教の仏教が)包むという世界平和祈願のような建物である。

 世界の民家や集落を見て回る旅を続ける中で、人間として感じる共通項(標準語)のようなものがある。それを抽出し、「自分」というフィルターを通してアレンジして、再構成するのである。

 日本のバナキュラーである民家と向き合うことで、材質感や色つやの大切さを実感し、情報化の現代の中でその混成(ハイブリッド化)を行い、民家に新しい魅力を見いだしていくことを考えている。我々の志向はあくまで「モダン」である。経年変化に耐えうる真の「モダン」を標榜(ひょうぼう)している。
photo
モロッコのワルザサードのカスバ。その土地の土から生まれた日干しレンガでできたエコロジカルな要塞 
 「魅力」といえば、庭に置かれたオブジェがそうだ。玄米をついて白米にする臼(うす)と杵(きね)で、以前からあったものだ。下手な彫刻よりもはるかに魅力的であると褒められる。

 埃(ほこり)をかぶり、埋もれている古いものの魅力を見いだし、その魅力を増幅させてアレンジすることは、我々の古民家再生において共通した手法である。スポットを当てたり、対比させたりと手法はいろいろあるが、魅力を増幅させて新しい価値を付加し、その魅力を持続させていくことは、時間(歴史)をつなぐ作業であり、「古民家再生」の重要な意味でもある。
photo
再生後。2階ホール。モロッコの土の塔とベニスの壁が日本の民家の中に共存する(※)
photo
再生後。2階ホールから下を見る。2棟が接するところに、塔と壁が切り取るすき間空間が生まれる(※)
photo
庭のオブジェ。もともとあった臼(うす)と杵(きね)から、「用の美」の魅力を引き出すアレンジメント
BACK NEXT
おすすめ情報(PR)