多くの店舗や集合住宅などの設計を手がけてきた建築家、芝さんの現在の肩書きは、エコハウスガーデンデザイナー。その名のとおり、「家と庭は一体のもの」と、提唱する芝さんの庭は、色とりどりの花々に囲まれた庭ではありません。ここは野菜やハーブの実る「野菜の庭」です。
庭の実りを虫がついばみ、その虫を鳥が食べ、その鳥の落としたフンが肥料となり、また、新しい種を育てる。永遠に繰り返される自然の連鎖。小さな庭に、生命の自然体系が成立しています。「私もこの食物連鎖の一部です」。庭の恩恵を受けて暮らす芝さんは、生ゴミなどは全て土に戻します。芝さんが、この本物のエコロジカルな暮らしをするまでには、様々な出会いがありました。
今でこそ、精力的に活動されている芝さんですが、子どものころは病弱でした。そんな娘の体を気遣い、お母さんは、毎年初夏を迎えるころになると、北軽井沢の自分の実家に娘を預けます。5月生まれの少女は、野バラの咲くころ、ワレモコウ、キキョウ、アヤメなどが咲きほこる野原に、ゴロッと寝っ転がって、ときには大きな蟻にかまれたりしながら育ちました。「水車小屋のあるような田舎でしたが、私は完全にそこの子どもになっていました。今も私の故郷です」。
自然とふれ合う暮らしは、東京にいても変わりません。植物を愛するお母さんは、買い物や散歩に積極的に娘を連れ出し、家に帰ると、牧野富太郎の植物図鑑を開いて、目に触れた植物のおさらいをします。もちろん、学校の夏休みの課題はいつも植物採集。「母が与えてくれた自然との出会いが、間違いなく私のアイデンティティーとなっています」。 |
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| たくましく茂る葉の上を歩くいもむし |
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| 様々な植物であふれる庭は、鳥の落し物によって、今日も新しい芽生えが(芝さんの庭のスケッチ) |
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| レタスやほうれん草などであふれる「野菜の庭」
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