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スタイルのある暮らし
「蔵」に見守られて  
 新緑の香りのなかにどっしりとたたずむ蔵。改築前、分厚い防火扉には、大正5年7月完成と記されていました。今から87年前、ひいひいおじいさんが農産物の貯蔵庫として建て、大きく張り出した軒下では摘んだお茶の葉を蒸したりしたといいます。しかし、その大切な蔵は、今からちょうど80年前に起きた関東大震災によって、土台と建物がずれてしまいます。竣工からわずか7年後のこと。

 その後、修繕の手だてもないまま、やがて時代の変化に取り残され、いつの間にか農機具の収蔵場所から物置と化していました。「幼いころは、おしおきで中に閉じ込められ、すごく怖かった」。数々の記憶を宿したこの蔵に惹かれるかのように、窪田さんの人生に転機が訪れます。

 それは、朽ち果てるにまかせていた蔵を、アトリエのある住まいとして再生することから始まりました。農家に生まれ育った窪田さんですが、蔵を再生し、農業と絵画を両立する今日のライフスタイルを確立するまでには、さまざまな葛藤があったといいます。

 宅地化が進み、農業をやめる人が相次いだこの土地にあっても、かたくなに農業を守り続けた両親の姿勢を見ながら育った窪田さん。家族で営む「KUBOTA FARM」は、この農地以外に、徒歩5分の場所および埼玉に農園を持ち、40種以上の作物をつくる直売農家。今でこそ農業と真剣に向き合うようになりましたが、「土で真っ黒になるなんてイヤ、農業なんてやりたくない!」と、反発した時期もあったそうです。
計画から竣工までのおよそ1年。奈良から職人がトラックに材料を積み込み上京。平日泊まり込みで作業し、週末は奈良で部材を作る、といった作業が繰り返された

築100年を超える母屋。少しずつ手を加えてはいるが、今もしっかりと家族を見守る

アトリエ兼ギャラリースペース。築87年の蔵を支える梁は、当時、地元で採れたさまざまな木

 
 
 




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