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都市住宅と私の冒険 狭小住宅イズム  
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都心の小さな土地に家を建てて住む、「狭小住宅」が静かなブームになっている。建築家の黒崎敏は30代半ばにして、熱いスピリットと優れたアイデアで、この分野のトップランナーに躍り出た。これは、建築家と建て主が理想の都市住宅づくりを目指す「クリエーティブな冒険」の物語だ。

 
文/黒崎敏 狭小住宅論 一般建築論

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「狭小地デザイン」


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土地選びは誰の仕事か?

 「建築家による狭小住宅を手に入れたい」

 そう願う多くの人たちが、建築計画前に、狭小地の購入も併せて検討しています。
 しかし、この用地取得のハードルが予想以上に高いことから、建築のスタートラインにすら立てない人が多いのも、また事実です。

 彼らは建物の知識こそあれ、土地に関しては十分な知識があるとはいえません。
 用地取得の経験も少ないため、せっかく優良な狭小地に巡り合えたとしても、購入の判断ができないまま土地が売れてしまう、といった悪循環を繰り返しているようです。
 狭小住宅がいまひとつ一般化しない理由は、このあたりにあるのかもしれません。

 例えば、既存建物やインフラの状況、隣地境界から隣地建物までの離れ具合、地盤の強度や水位などの情報は、いわゆる一般の不動産情報には細かく掲載されていません。
 しかし、敷地を最大限に利用する狭小住宅の場合、土地情報が建築のボリュームに直結するため、これらの調査が不可欠になります。

 また、土地の価格が高い都心部では、土地と建物とのコスト配分がアンバランスになりがちです。それゆえ、杭(くい)や地盤改良などにかかる費用は土地の必要経費とみなした上で、建築計画の可能性を模索し、価格交渉も含めた戦略を練ることが不可欠です。
 このように、土地情報が不透明なまま流通し続ける不動産を、土地取得希望者が独力で調査していくことは、至難の業と言わざるを得ません。

 「もう土地を探して3年になります」
 設計の前段階で、このような人々に出会うことも少なくありません。
 彼らは、人一倍家づくりに対する情熱を持ちながらも、土地探しの良きパートナーに巡り会うことができず、孤立無援となり、疲弊してしまっています。
 土地探しは決して1人ではできませんし、インターネット情報も鮮度が低く、限界があります。

 希望する土地情報をうまく“翻訳”し、ナビゲートしてくれる土地探しのパートナーとの出会いこそが、何より狭小住宅への近道なのです。
間口と奥行きのバランスがとれたプロポーションの良い狭小地には、身の丈に合った愛らしさが漂う

都市の中で隅に追いやられてしまった狭小地は、空地歴も長く、その表情もどことなく暗い

地形こそ良いものの周囲の建物の裏側が露出した狭小地には、寂しさが漂う


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