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都市住宅と私の冒険 狭小住宅イズム  
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文/黒崎敏 狭小住宅論 一般建築論

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_「都市住宅と私の冒険」


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都市住宅のつくり方

 現在では、街中に様々な都市住宅を見ることができますが、そこに住む人々は本当にバラエティー豊かになってきました。
 20代後半の若いカップルから60代のご夫婦に至るまで、老若男女を問わず、都市住宅は人気が高いのが特徴です。

 様々な人々と意見を交わす濃密な時間は建築設計における醍醐味(だいごみ)の一つですが、何より、人生の中での出会いを、純粋に楽しんでいるだけなのかもしれません。
 積極的に他者と協働するのが大好きなのは私だけではありません。建て主も同様なのです。

 都市住宅を求める建て主にはこだわりのある方が大勢います。
 デザイナーやカメラマン、アートディレクター、ミュージシャン、アーティストのような、都市を舞台に活躍する専門職やクリエーターの方々が私のクライアントに多いのも、必然なのかもしれません。

 彼らは「協働作業」を、自らの仕事や経験を通してすでに心得ています。
 すなわち、建て主自身が家づくりにおける優秀な「プロデューサー」であることを自覚しているわけです。

 彼らの特徴は、「人に任せる力」や「人に期待する力」を備えていることです。
 スポンサーとしてのわがままを通すだけではなく、基本コンセプトをしっかり守りながら、細かな部分は任せ、建築家の力を引き出すための余白として期待をかける。
 その懐の深さこそが結果として満足度の高い住宅につながることを、彼らは熟知しているのです。

 実際の家づくりでは、多くの人々はこうした手法をとらず、自分が決定した細かな部分の集積によって空間をつくり上げてしまいがいちですが、それではかえって、せせこましく、中途半端になることが多いのです。

 都市という場所の限られた敷地の中で、自己の財産を投資し、最大限のパフォーマンスを得ようとすることには、大変なプレッシャーがかかります。
 しかし、それを楽しみながら乗り越えることができたなら、結果は予想を上回るかもしれません。

 建築家も建て主も、他人とつくり上げるからこそ、自分では気が付かなかった新たな発見があります。

 建築家のあくなき探究心と建て主のあふれる好奇心とが出合い、かけ合わさったその瞬間、コラボレーションの結晶として、新しい都市住宅が誕生するのです。
高級住宅街の角地に建つ若いクライアントのRC造都市住宅は、コーナーからの眺めを考慮しながら、プライバシーを確保した外観フォルムを実現。書斎となるペントハウスからは前面道路側にある雄大な桜を見物できるなど、ぜいたくな空間である(2007年7月完成予定)

建て坪12坪程度、延べ坪30坪程度のRC造都市住宅は、現在では典型的な大きさの狭小住宅といえる。閉鎖的な外観に設置されたランダムな開口部は、ファサードのアクセントとして、街並みに溶け込みながら際立つ存在になるであろう(2007年6月完成予定)

商業地域の「うなぎの寝床」に建つ3階建て鉄骨造りの都市住宅は、隣地が迫っていることから、間口を最大限に確保できるかどうかがデザインの鍵。玄関からペントハウスに至るまでの空間をひとつなぎのワンルームにすることで、縦の空間にリズムを生み出している(2007年9月完成予定)



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