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Works File 96「アパートメント傳」 ナビゲーター 坂野美由紀(リネア建築企画)
奥まった敷地に独自の世界をつくる、左官壁に囲まれたパティオ

中庭入り口

中庭全景

B棟外廊下
 
中庭

A棟外観

C棟住戸内
 
 今年竣工後10年を迎えた「アパートメント傳(でん)」は、オリジナリティーあふれる集合住宅の設計で知られる泉幸甫氏の作品の中でも、ひときわ個性のある作品だ。幹線道路に近い場所にありながら、周囲を高い建物に囲まれた奥まった敷地の中に、どこかオリエンタルな雰囲気を感じさせる独特の世界をつくりあげている。

水盤やパーゴラ(日陰棚)があったり、円柱が並んでいたりして、まるで神殿のようですね。

坂野 敷地にゆとりがあるからこそできることですね。ここは道路側が細長く、奥が広くなっている変形敷地です。道路寄りにワンルームばかりのA棟があって、その前を通り抜けると水盤のあるパティオ(中庭)に出ます。

 パティオを挟んで南側に1LDKのB棟、北側にメゾネットのC棟という3棟の構成。メゾネットはこぢんまりとした2LDKで、小さいながら専用庭を備えています。

A棟ワンルーム
B棟1LDK C棟メゾネット


 中庭形式とはいえ、どの棟も中庭に直接面した大きな開口部を持たず、周囲が回廊のようになっているので、神殿のようなひっそりとした雰囲気が生まれるのでしょう。

建物の外壁などの質感も独特です。

坂野 外壁は左官仕上げですが、材料の中にワラを混入させて、ざっくりとした風合いを出しています。自然素材の使いこなしが上手な、泉幸甫さんらしい手法です。

 エスニックな雰囲気ですが、アジアというよりは西洋的なイメージでしょうか。たとえばモロッコやコルドバを思い起こさせます。砂漠の中にでも建っていそうな感じですね。

事業主は法人ですか、個人ですか。

坂野 一般の、個人の方です。土地の一部を売却して得た資金で、「アパートメント傳」を建設したそうです。設計を泉さんに依頼したのも、ご本人の意思でした。

 C棟の一部に、オーナーのお住まいと、自ら経営するカフェがあります。カフェはパティオに面していて、表通りから分かりにくい場所にあるにもかかわらず、かなりはやっているようですよ。

個性的な建物ですが、どんな人に人気がありますか。

坂野  泉さんのファンには、女性が多いと思います。それも、30歳代~40歳代の大人の女性ですね。

 アパートメント傳の入居者は、単身者ですと男女半々というところでしょうか。私たちが扱っている物件では、男性が8割ぐらいを占めることが多いので、それから比べると、かなり女性比率が高いといえます。

 職種は幅広いけれど、時代の先端を行くクリエーターというより、出版社や設計会社などに勤める知識人タイプの方が多い印象です。建築から10年たちますが、安定した人気を得ている建物です。
(萩原詩子/フリーライター)

物件データ
  物件名/ アパートメント傳
所在地/ 東京都中野区上高田1
最寄り駅/ 東京メトロ東西線落合駅徒歩2分・JR中央線東中野駅徒歩10分・都営地下鉄大江戸線東中野駅徒歩8分
構造規模/ 鉄筋コンクリート造り・3階建て
住戸数/ 22戸
施工/ ウッディーライフクリエイト
完成/ 1998年4月
外装/ 左官仕上げ
内装/ 床:フローリング(カラマツ無垢材)、壁:左官仕上げ
  設備/ 冷暖房(各室)・CATV・バス追いだき機能付き(C棟のみ)
  備考/ パティオ・池
  駐車場/ なし
  貸室条件/ 礼金2カ月・敷金2カ月
  標準賃料/ 8万3000円(21.59平方メートル)─20万1000円(55.47平方メートル)
  設計/ 泉幸甫建築研究所
  URL/ http://www.
izumi-arch.com/
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