TOPLiving Style路地裏の極上住宅

優れた住宅をつくろうとするとき、その原動力になるのは、建て主が見せる強い意欲とパワーであり、建築家が示す熱いスピリットとアイデアである。東京において、極上住宅は路地裏に生まれ、育ち、鍛えられてきた。これは、路地裏で身を粉にしてきた建築家が、活動の舞台を表通りにまで広げ、さらなる極上住宅をつくろうとする物語である。

「サイトマネジメント」 ~土地探しをデザインする

サイトマネジメントとは何か

 「建築とは場所の特性を視覚化するもの」
 スザンヌ・K・ランガーというアメリカの哲学者の言葉です。

 すなわち、どのような場所であるかということを建築という行為を通して可視化し、説明することが、建築家の真の役割だといえるでしょう。

 どのような住宅をデザインする場合でも、場所は必ず特定しなければなりません。既に場所が決まっている場合には問題ありませんが、これから新たな土地を探す場合には、いかに選択、決定し、購入するかで、家づくりの方向性は大きく異なります。

 土地を購入するということは、その場所との縁をつくり上げることにほかなりません。その場所で、今後いかなる生活を送ろうとしているのかを、否応なしに問われます。その答えは決して簡単なものではなく、様々な思考を繰り返し、悩み抜いた末に、ようやくたどりつくものです。

場所の美しさを美しい建築で表現するのは建築家の使命といえる(写真、西川公朗)

 家を建てようとする多くの人が土地探しは初めての経験ではないでしょうか。思い通りにいかず、絶望的になることもあるでしょう。我々もそのような人々と接する中で、協働しながら土地を見つけるプロセスが、この10年ほどの間で一般的になってきました。

 世界中を見渡してみても、個人がこれだけ土地を自由に所有できる国は日本以外では見当たりません。しかしながら、場所の特性を読み取り、理想的に不動産を取得できる環境の整備は、十分とはいえないでしょう。専門家の助けを借りず、自分独りでバランスの取れた土地を見つけることは、至難の業(わざ)です。

 一般的に不動産仲介は宅建業者が行うものですが、建て主が暮らす住宅にとってふさわしい場所を見極める仕事は、建築家がやるべきであると私は考えています。「土地が確定していなければ建築の相談には乗らない」という建築家もいまだにいるようですが、それでは真の住宅デザインを行うことはできないでしょう。

狭小地でも信念を貫くことで、質の高いデザインが実現できる(写真、西川公朗)

変形地の特性や本質を見抜くことで、新たな建築の可能性が導き出される(写真、西川公朗)

 場所がもつ真の強さや美しさは、強く美しい建築で表現することができます。建築家は土地を探すことに敬意を表し、積極的に業務領域を横断することで、場所にとって最適なデザインを想像しながら、土地探しというプロセスを建て主と共有しなければならないのです。

 このように「土地探しというデザイン」を行う姿勢のことを私たちは「サイトマネジメント」と呼んでおり、住宅におけるデザインマネジメントのかぎを握るプロセスであると考えています。

土地探しは、都市を俯瞰(ふかん)してみることと実際に歩いてみることが大切である(写真、西川公朗)

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