TOPLiving Style路地裏の極上住宅

優れた住宅をつくろうとするとき、その原動力になるのは、建て主が見せる強い意欲とパワーであり、建築家が示す熱いスピリットとアイデアである。東京において、極上住宅は路地裏に生まれ、育ち、鍛えられてきた。これは、路地裏で身を粉にしてきた建築家が、活動の舞台を表通りにまで広げ、さらなる極上住宅をつくろうとする物語である。

極上の照明 ~空間を触発する照明デザイン~

複雑なものをシンプルに見せる

 数え切れないほどの要素が組み合わさることでひとつの住宅は完成します。複雑に絡み合う要素同士を整理整頓し、いかにシンプルかつ美しく見せるかということがデザインでは求められています。

 それぞれの要素にはしかるべき役割があり、生活する上では欠かせないものばかりです。例えば、調理や食事を行うダイニングキッチンは毎日の生活を送る上では不可欠であり、住み手のスタイルにより存在の仕方も大きく異なります。

 調理をしながらでも子どもの面倒を見ることができることから、アイランドキッチンは小さなお子さんがいる家庭では根強い人気を誇ります。また、休日に大勢のゲストとパーティーをする人にとっては、大きなダイニングテーブルは欠かせません。夫婦がともにキッチンに立つ家族の場合には、飲食店のようなプロ仕様のキッチンが最適です。

 また、使いやすい寸法を設定し、好みの素材や仕様を選択することで、ユーザビリティーは格段に向上し、真の愛着がわいてきます。空間を自己化していくこのような過程にこそ、オーダーメードの魅力が存在するのです。

屋外につながるアイランド型のパーティーキッチン。リビングからバルコニーまで見渡すことが可能だ(写真:西川公朗)

 自分らしい空間表現のひとつに階段があります。階段は複数層に分かれた住宅では必須アイテムになります。空間の中に占める割合が大きく、リビングやダイニングから目につきやすい存在であることから、建て主は階段にひと際大きなこだわりを持つのです。

 例えば直階段には、キャンティー階段や力桁(けた)階段、ササラ桁階段など、たくさんの種類がありますが、印象はそれぞれ異なります。らせん階段などは、見上げの意匠がポイントになるため、細部まで気を配り設計しなければなりません。折り返し階段や半らせん階段など、状況に応じて使い分けることで、昇降のための機能に加え、独自の空間性が表れます。

軽やかに跳ね出すウォールナット材を使用した直線階段(写真:西川公朗)

大きな吹き抜けのあるLDK空間にオブジェのようならせん階段がマッチする(写真:西川公朗)

 段板には、スチール、木、コンクリートなど様々な選択肢があります。踏み面と蹴上(けあ)げの寸法設定はとりわけ重要で、できるだけ昇りやすく、ゆったりとした勾配にすることで、空間におおらかさが表れてきます。

 階段には手すりが不可欠ですが、本体とのバランスがとりわけ重要です。トップレールが連続するような手すりもあれば、床から立ち上げるのではなく天井から吊り下げるケースもあり、それぞれデザインの意志が伝わってきます。

 階段は、段板、下地、ササラ桁(けた)、手すりなど、複数の要素で構成されていますが、それぞれが適切な距離感を取りながら関係を結ぶことで、互いに良い印象が生まれます。モノ同士が生み出す相性やコントラストを定義していくことこそが、設計の醍醐味にほかなりません。それゆえ、小さな部分であればあるほど、丁寧に選択しなければなりません。

1階の中心に配された鉄骨跳ね出し階段は、軽やかな存在で圧迫感を与えない(写真:西川公朗)

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