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素敵な暮らしのつくり方

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09.次の世代へ “和の心”を受け継ぐ家

手前の建物と奥の建物が連絡通路で結ばれた2世帯住宅。中央にはパティオが配置され開放感が広がる

1階の郵便局以外は、正面を白い壁面が覆う。手すりに塗られたブルーのペイントがさわやかなアクセントカラーになっている

楕円にくり抜かれたような照明が印象的なリビング。部屋を改装する時に、中澤さんのアイデアでしつらえたものだとか

家族同士のコミュニケーションを通して、愛情や感性、感覚が受け継がれる。最近、家族の団らんの輪の中に子犬のレイが仲間入りした

住むことは、受け継いでいくこと

 「最近はシャッター商店街も多くなりましたよね。この辺はまだにぎやかですけれど」。表千家茶道教授者・中澤仁さんの住まいは、下町商店街の通り沿い。真っ白な壁に覆われた外観が印象的です。1階には郵便局。街の中心的な場所に位置しています。

 「30年前に建てられた家ですが、今でも全然古い感じがしないでしょ?」と中澤さん。

 設計を手がけたのは、三重県の海の博物館や東京のちひろ美術館など、数多くの著名な施設を手がけたことで知られる建築家、内藤廣氏。縁あって、内藤氏と中澤さんのお父さまが出会い、住宅建築の話が進められました。

 「建てられた当時は、父方の親世帯と父の世帯の2世帯で暮らしていました。今は、祖父母も両親も他界しましたけれど、私は、この家でさまざまなものを両親から引き継がせてもらったと思います」

 もともとお父さまの実家は酒屋。商店街の中で長く商売をしてきました。この地で生まれた中澤さんも、ご近所の人情に接しながら育ったといいます。

 また一方で、お母さまの実家は、歌舞伎にゆかりのある家柄。お母さまもおばあさまもお茶の表千家教授者であり、大叔父は歌舞伎俳優の三代目河原崎権十郎、大叔母は日本舞踊の吾妻徳穂と、常に和文化の香りに触れる機会がありました。

 「内藤先生の建ててくださった家は、30年たっても変わりません。でも、中に住む家族の構成は変わっていきます。一緒に暮らしながら、親から子へ、子から孫へと、心が受け継がれていくんです。私にとって家は、家族が培ってきたものを次の世代との間で橋渡しするための空間なんです。同じ空間で、同じ時を過ごしながら受け継いでいくことこそ、住むということではないかと思うんですよ」

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